§第8章§
05
「咲良さん!助けに来てくれて、本当に本っ当にありがとうございました!」

「やっぱり咲良さんは凄いです!」

倉庫から出ていく咲良の後を着けながら、真子と南那は満面の笑みで感謝の言葉を伝える。

「別に……火の粉を払っただけだ。」

しかしながら咲良は2人の方を見る事なく淡々と答えると、正面を向いたまま足を進めていった。

「おーい!」

倉庫を出ると彼女らを呼ぶ声がした為に、その場に居た全員がそちらに目を向ける。

「あ?……火鍋?」

「大丈夫か?シロギクとクロバラはどうなった?」

「もう終わったっての、咲良さんの大活躍でな!で、何しに来たんだ?」

駆け寄ってきた火鍋のメンバーに真子は首を傾げるが、朱里から問いを投げ掛けると南那は得意気に答えた後ににやにや笑って尋ね返す。

「違う、別にお前らだからって訳じゃねぇよ。」

「学園舐められたら、たまったもんじゃねぇからな。」

南那の言葉を受けた玲奈は慌てて付け足すように反論し、その後に言葉を続けた朱里も視線を泳がせながら答えた。

「あれ、咲良ちゃん笑ってる?」

「別に……何でもない。」

そのやり取りを見て小さく笑みを浮かべていた咲良であったが、にやにやと笑う光から指摘を受けるとすぐに踵を返して彼から離れていく。

「私達のこと助けてくれたんだよ!ねぇ咲良さ……ちょっと、待ってくださいよー!」

「置いていかないで下さいってばー!」

先に歩いていく彼女が目に入った為に、真子と南那は声を掛けながら咲良の後を追いかけていく。

「で、お前らはいつから咲良の舎弟になったんだ?」

「あははっ、舎弟なんかになってないよ。」

「ボディガード……かな?」

呆れたように奈月から問われると光は可笑しそうに笑いながら、隆治は困ったように返事をした。

「まぁ、咲良ちゃん可愛いしスタイル良いから付き合うなら……おっと!」

冗談目かして告げていた光へと涼花が蹴りを入れようとするが、彼は寸前のところで避ける。

「おい、クソガキ!」

「こいつの軽口をマジに捉えちゃいけないって分かってるだろ!」

朱里と美音が説得するように告げるが、涼花は納得いかない様子で鼻を鳴らしてから顔を背けた。

「お前もあんまり馬鹿なこと言うな。咲良に聞かれたらしばかれるぞ。」

「あはは、ごめんなさーい。でも、りゅーくんならしばかれないよね?」

警告する玲奈へと光は楽しそうに笑いながら謝罪するが、続けられた言葉に全員が動きを止める。

「橘……?お前まさか……」

「いやいやいや、何にもしてないから!」

「うっそだぁ。咲良ちゃんりゅーくんには懐いてるもん!」

「誤解生むようなこと言わないでよ!」

表情をひきつらせながら確認するように告げた朱里に彼は慌てて否定してから、更に煽ろうとする光を一喝してから睨み付けた。

「それはそうと、お前らはあんまり目立たない方が良いんじゃないのか?」

「うん、まぁそうなんだけど……」

「大丈夫大丈夫!咲良ちゃんの取り巻きに居た方が強いものに乗っかってるイメージあるでしょ?」

一変して心配そうに問い掛けた朱里に隆治は言葉を詰まらせるが、光は自信満々な様子で答える。

「それ、私らにも言ってる訳じゃねぇよな?」

「やば、また地雷踏んじゃった?」

「待て、こら!」

苛立ったように言った奈月に光は悪戯っぽく笑いながら言うと、火鍋のメンバーは彼を追いかける。
それを見て溜め息を吐いた隆治は、走り去ったメンバーの後をゆっくり歩くように着いていった。

こらるめんて ( 2015/11/18(水) 23:42 )