§第8章§
04
「ほら、どうしたん?口ほどにも無いやん!」

「きゃははははっ!打ってきなよ、きゃははははははっ!」

攻撃をいなし続ける相手に美瑠と楓子は笑いながら言うが、隆治は攻撃をいなし続ける。

「ゾンビ、私は行く。」

「駄目です、まだ見えてないじゃないですか!」

「橘先輩なら大丈夫ですから。」

咲良から告げられた南那が即座に否定すると、真子は濡れたハンカチで目をそっと拭うようにしながら言葉を続けた。

「いい加減に……せぇよっ!」

「きゃははっ、当たったらすぐにたおれちゃうんやない?」

攻撃を避け続けている彼に苛立ち始めたのか美瑠は隙だらけになりながらも攻撃するが、隆治は反撃する事なく攻撃をかわす。
その後笑いながら放たれた楓子の拳を、彼はようやく腕を使って防いだ。

「そろそろ僕も我慢の……」

「りゅーくん!」

倉庫に声と共に現れた光が、彼へとグローブを投げ渡す。
隆治はそれを掴むとすぐに手へと装着をした。

「グローブがあるからって、何が変わるんだよ!」

「僕の気の持ち用、かな。」

拳を放った美瑠の1撃をかわすと、隆治はその腕を掴んでいた地面へと倒れ込ませる。

「きゃははははっ!やっと本気になったやん!」

「ずっと思ってたんだけどさー……」

起き上がろうとしている美瑠に目をやってから楓子が地面を蹴って彼に近付くが、隆治はため息を吐いてから楓子に顔を向けた。

「その笑い方、なんとかならないもんかな。」

走ってくる相手に足を掛けてバランスを崩させると、そのまま床へと転倒させる。

「ちょっと……大事な人を思い出しちゃうからね!」

倒れた楓子を見下ろしながら言った後、彼は立ち上がった美瑠が睨み付けている事に気付いた。

「まぁ……今出せる力はこんなもんだからなぁ……」

「お前……許さへんからな……悲鳴たっぷり聞いたるわ!」

怒り狂っている相手を見た隆治は小さな声で呟くが、それが耳に届いていない美瑠は指の関節を鳴らしながら叫ぶ。

「……本当はクロバラって方をしっかり相手にしたかったけど。」

「きゃはっ……きゃははははっ!ウチに執着してるん?きゃははははっ!」

彼の呟きに反応した楓子は笑いながら立ち上がるが、その直後に隆治は肩をぽんと叩かれた。

「分かってるよ、分かってる。……それに、時間みたいだしね。」

「ありがとうございました、橘さん。」

肩を叩いた光に告げると隆治が告げると、2人の横を咲良が通って美瑠と楓子の前に立つ。

「言ったはずだ……お前達は私が倒す。」

「じゃあさっさと悲鳴聞かせろや!」

「きゃははははっ!鳴いてよ、ほら!鳴いてよっ!」

再度交戦が始まるとスプレーを掛けられる以前のように、咲良が一方的に2人を追い詰めていった。

「くたばれや、咲良ぁ!」

美瑠の拳が振り下ろされるよりも早く、咲良の拳が彼女の腹部を打ち抜いた。

「お前達なんかに……私は負けない。」

「きゃははははっ!さーくーらーっ!」

相変わらず笑いながら行われる攻撃を避けて側頭部に回し蹴りを放つと、楓子は数歩ふらふらと歩いてから床に倒れる。

「やったぁ!」

「流石咲良さん!」

倒れた美瑠と楓子を見て、真子と南那は喜びの声を上げる。

「私にはやることがある……おまえらの 無意味な戦いに付き合っている暇はない。……邪魔をするな。」

倒れている2人に声を掛けると、咲良はふらふらと倉庫の出口へと向かって足を進めた。

■筆者メッセージ
投げてはいません。
ご安心を。
こらるめんて ( 2015/11/17(火) 23:08 )