§第8章§
02
写真に記載のあった倉庫を目指していた咲良であったが、そんな彼女の行く手を遮るように女子生徒の集団が現れる。

「残念ながら行き止まりだぁ、宮脇咲良!」

「お前達……誰だ。」

「別に誰でも良いだろ?」

にやにやと笑みを浮かべる相手に咲良は問い掛けるが、生徒達の1人がした茶化すような返答に彼女達は声を上げて笑った。

「お前らなんかに構ってる時間は無い……道を開けろよ。」

「は?……クロバラとシロギクの所に行かせる間もねぇ。やっちまうぜ!」

咲良の発言に彼女達から笑いが収まると、先頭の生徒の声を受けて全員が咲良に向かって駆け寄る。

「ごほっ……ごほっ……」

「マジで強ぇ……しっかり撮ってるな……」

倒れた相手の会話が聞き違和感を感じた咲良は、生徒達を見渡してカメラを回している相手を見つけた。

「カメラ……?」

「今頃気付いたのか?お前の戦い方はクロバラとシロギクに送られてんだよ!」

カメラを回す生徒を守るように現れた2人をあっさりと倒すと、咲良は回し蹴りを放ちカメラを壁に叩き付けて破壊する。
その後すぐにその相手の腹部に拳を入れて地面へと横たわらせた。

「げほっ……遅ぇよ……あれは……リアルタイムで送られてた……」

横になり咳き込みながらも、カメラを回していた生徒はニヤリと笑いながら告げる。

「お前の弱点は動きの予備動作にある!」

「こびーに弱点を教えた奴を恨むんだなぁ!」

彼女へと2人の生徒が飛びかかってくるが咲良は落ち着いて蹴りを入れると、倒れ込んだうちの1人を立ち上がらせた。

「誰だ……教えたのは。」

「教えてどうすんだ……ばーか……」

胸ぐらをつかんで問いただしていた相手が悪態をついてから気を失うと、咲良は掴んでいた手を離す。

「知らねぇのか?光だよ、藤宮光。」

彼女に倒されて10人程度となった生徒の1人が、攻撃の手を休めながら咲良へと答えた。

「どうだ?仲間内に裏切られるってのは?」

「お前が行く頃にはシロギクもクロバラもお前の動きが完璧に分かるようになってるだろうよ!」

集団を睨み付けている咲良を煽り立てるように声が上がると、生徒達から再び笑い声が上がる。

「ふっ……完璧か。」

「あ?何がおかしいんだ?」

「ピンチになりすぎて逆に笑えてきたんじゃねぇの?」

咲良が笑みを浮かべると、それが気に入らなかったのか2人の生徒が彼女を睨みながら告げた。

「誰がどんな手段を使っても、私は勝つだけだ。」

「そんな、弱点バレてんのにクロバラとシロギクに勝つなんて……」

強気に答える咲良へと反論しようとするが、ポケットに入った携帯が着信を知らせた為に口を閉じる。

「噂をすれば、だな。クロバラからだ。きっとカメラの故障についてだろ。」

表示された名前を見て他の生徒に笑い掛けると、携帯を操作して耳元へと近付けた。

「あー、ごめんなさいねー。カメラ蹴られて……えっ……そんな筈は……」

余裕そうに話していた彼女であったが会話を行うにつれて異変が生じると、他の生徒達も顔を見合わせて騒ぎ始める。

「写真で見た咲良って奴は私らの目の前に……」

「作戦は上手くいったみたいだな。……くくくっ、ふふふっ。」

相手が電話越しの相手に告げた発言で事態を察した咲良は広角を上げるが、やがて声を上げて笑いだした。

「じゃあ……こいつ誰なんだよ……」

「おい!てめぇふざけんなよ!」

「単純な人が多いと騙し甲斐があって良いなぁ。」

畏怖する声や怒りに近い声が上がる中、咲良はのんびりと答える。

「駄目だよ?目に見えるものだけを信じてちゃ。」

咲良の制服が宙に舞った次の瞬間、いつの間にか男子制服に身を包んだ光がにんまりと笑いながらその場に立っていた。

こらるめんて ( 2015/11/08(日) 07:31 )