§第7章§
04
「マジかよ……」

「いや……いくらこびーさんでも……」

とある倉庫の前。
数人の女子生徒を後ろに従えていた美優紀であったが、会話に自らの名前が出るとくるりとその人物に顔を向けた。

「ふふふっ、そんな心配なん?」

「だって、あの2人ははぐれ者で……」

「うんうん。」

顔を向けた相手に問い掛け、その生徒が必死に説明するのを美優紀はにこにこと笑いながら相槌をうつ。
しかしながら次の瞬間、美優紀はその生徒の頬を思い切り殴り付けた。

「そんなに心配してくれるんやぁ。優しいなぁ……」

殴られて横たわった相手の腹部を何度も蹴りながら、美優紀は笑顔を浮かべてのんびりと告げる。

「他にウチの考えが心配な子、おる?」

蹴るのを止めて一部始終を見ていた他の生徒に尋ねるが、彼女らは目を合わせないように視線を泳がせた。

「ふふふ、じゃあ行くで。」

誰からも意見が上がらなかった事に美優紀は満足そうに笑ってから、倉庫へと足を進めていった。

「随分と大人数やな。」

「きゃはははっ!ウチらの事、そんなに怖いん?」

後方に多くの生徒を連れている美優紀を見て白間美瑠は小馬鹿にしたように笑い、矢倉楓子は独特な笑い声を上げながら彼女達を迎え入れる。

「ふふふ、今日は戦う為に来たんちゃうねん。」

殺気立つ2人を見ても、美優紀は怯む事無く相変わらずのんびりとした口調で言葉を続けた。

「だとしても、ただで返す訳にはいかへんよな?」

「せーっかく来てくれたんだから、おもてなししなきゃ。きゃはははっ!」

美優紀の告げた内容を受けた美瑠と楓子が完全に戦闘の構えを取ると、美優紀の後ろに居た生徒達もそれに触発されて構えを取る。

「ふふ、気持ちだけ受け取っとくな?生憎手ぶらちゃうねん。」

背後の様子を察したのか美優紀は手で合図して警戒を解かせると、2人に向かって歩み寄った。

「良い悲鳴聞かせてくれる奴、知りたいやろ?」

「……それが手土産か。」

美優紀が胸元から取り出した写真を見ると、美瑠も1歩歩み寄って相手に手を差し出す。

「激尾古が馬路須加を潰した知らしめる為に、きっちり戦争したらな。それが私たちの為や。……その火種を私が作る。」

「そんなのはどうだって良い。良い悲鳴が聞けるならな。」

「きゃはははっ!どんな奴かな?」

美優紀は意地悪に笑いながら言うが、興味津々な楓子とは対称的に美瑠は苛々とした様子で答えた。

「転校生、滅茶苦茶にしたってや。」

「なんや、随分弱そうやん。」

「こんなんに、ラッパッパ四天王は負けてるのー?」

受け取った写真を手に取り、美瑠と楓子はそれを眺めながら呆れたように感想をもらす。

「舐めたらあかんで。アントニオも実力買ってる位やからな。」

油断した2人を発言に、美優紀は人差し指を立てるようにしながら警告するように告げた。

「で。後ろの奴ら、何なん?」

「もしかしてー、依頼のお礼の先払い?きゃはははははっ!」

「ふふ、あかん。この子らは協力させる為に連れてきたんやから。」

その警告を受けてから美瑠が後ろの生徒を見ながら言うと、楓子は楽しげに笑いながら彼女達にゆっくり歩み寄っていく。
そんな彼女のの行く手を阻むように、美優紀は生徒達と楓子の間に割って入ると先程の2人の言葉に返事をした。

「一方的に殴ったら、もっと良い悲鳴が聞けると思うねん。だからな……」

美優紀は悪戯っぽく笑うと、2人を手招きしてから何かを耳打ちする。

「面白いこと、考えるやん。」

「きゃははっ!どうしよ……もう楽しみだよ!きゃはははははっ!」

「じゃあ2人とも、頼んだで。」

楽しげな反応を見せる美瑠と楓子に美優紀は満足そうに言うと、生徒達に合図をして倉庫から引き上げていった。

こらるめんて ( 2015/11/07(土) 00:11 )