§第5章§
01
バーベキューに出掛けてから数日後、とある噂を聞いた隆治は火鍋の居る教室へと向かった。

「ラッパッパが来たって!?」

「何だよ、またお前かよ!」

「あっ……ごめんなさい。」

声を上げながら教室に入った彼を見て火鍋のクラスメイトが苛立ったように言うと、隆治は謝罪をしながら鍋を囲む相手らの元に足を運ぶ。

「それで、ラッパッパは……」

「ああ、門番的な役割になってるヨガだ。」

「咲良がテッペン目指してるのもあるけど、目立ち過ぎたんだよ。一応、2年最強だった私らと1年最強コンビを一気に潰しちゃってる訳だしな。」

隆治の問いに朱里が簡単に説明をすると、心当たりを補足するように玲奈が言葉を続けた。

「じゃあ、宮脇さんはもう……」

「いーや、多分まだだな。それよりあの2人が先に行きそうだしな。」

「あの2人?」

心配そうに告げる隆治に鍋をつつきながら奈月が言うと、ぴんと来ない様子で彼は繰り返す。

「カミソリとゾンビだよ。舎弟気取ってやがんだ、咲良が挑戦状叩き付けられたなら先に行くだろうよ。」

「あのレベルじゃ、ヨガマットが血で染まるのがオチだろうけどな。」

美音と涼花が笑いながら交わした言葉を聞くと、隆治は咄嗟に彼女達に背中を向けた。

「待てよ。」

彼が足を踏み出すよりも早く、その姿を見た朱里が隆治を呼び止める。

「どこ行くんだよ。」

「それは……無謀な戦いを……」

「ふざけんな!」

背中を向けたまま彼は朱里からの問いに答えるが、彼女はその返答に声を荒らげた。

「あいつらにもプライドがあんだよ。……邪魔してやるなよ。」

「それに光の話じゃ、お前を目立たせる訳にはいかないからな。」

声に落ち着きを取り戻した朱里の言葉に続けて、涼花は立ち上がると彼の行く手を遮るようにしながら告げる。

「……いつから光って呼ぶようになったんだ?」

「そ、それは今はどうでも良いだろ!」

違和感に気付いた美音からにやにやと笑いながら尋ねられ、涼花が焦りながら言い返した瞬間だった。

「あーっ!ったくよ、ヨガにまた先越されたぜ。」

青いスカジャンを着た生徒が教室に入ってくると、全員の視線が彼女へと釘付けになる。

「あ……」

「お、お前は……!」

「お前?」

全員が言葉を失う中、涼花が思わず溢した言葉に彼女は苛立ったような反応を見せた。

「ば、バカモノさん!」

「何か知らねぇけどもうヨガ来たんだろ?あー!先越されたー!」

火鍋のメンバーが声を揃えて相手の名前を呼ぶと、李奈は悔しそうに大声を上げる。

「よし、お前。」

「え…僕?」

大きな溜め息を吐いた李奈は隆治を指差すと、突然の指名に彼は困惑したように返事をした。

「放課後、学園近くの川の側にあるグランドに来い。」

「場所回りくど……というか、なんで僕が……」

「暇潰しだよ、暇潰し。ストレスの発散くらいさせろよ。逃げたら、許さねーから。」

苛立った様子で淡々と進めていく話に、隆治は戸惑いから反論をする。
しかしながら彼の言葉に一切耳を貸す様子もなく、一方的に告げると李奈は教室を後にした。

こらるめんて ( 2015/10/17(土) 23:11 )