§第4章§
05
「もう、我慢の限界だ!」

「お前ら、年下なんだから年下らしくしてろや。」

年下の2人の前に立ち睨み付ける涼花が声を上げると、それに続くように朱里も口を開く。

「年下?おっかしいなぁ……年下は年下だけど、格下はどっちなんだか。」

「格下が格上に尽くすのが普通じゃね?」

火鍋のメンバーから鋭い視線を受けながらも真子は嘲るように笑うと、南那も余裕な様子で笑みを浮かべた。

「いつまでも、昔の事を……」

「ストップ、ストップ!」

殴りかかろうと地面を蹴った火鍋のメンバーであったが、仲裁をするように光が間に入る。

「お前、邪魔すんなよ!」

「来たいって言うなら来させてやれば言いじゃん。痛い目みるのはどっちか決まってるけどな。」

「だから、人を跨いで言い争いしないの。」

止めた相手を見て涼花と南那はそれぞれ言い合うが、光は苦笑いをしながら2人を落ち着けるように告げた。

「じゃあ、どうしても争いたいなら……」

光は含み笑いをしてから水鉄砲を取り出すと、睨み合っていた彼女達に水を掛ける。

「冷たっ!」

「テメェ、何すんだよ!」

「頭を冷やすには一番でしょ?」

水を掛けたメンバーは文句を言うが、光は相変わらずくすくすと笑いながら再び水を掛けた。

「こんな事!」

「夢中になる訳ねぇだろうが!」

にやにやと笑う彼に彼女達は不満を口にしながら、水を掛ける光へと向かっていった。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「冷たっ!おい、1年狙えよ!」

「反応が面白いから……ひやっ!?」

「隙だらけですよ、センパイ?」

川辺にて1年の2人組を狙おうとしていた奈月であったが、そんな彼女にくすくすと笑う美音が、光から支給された水鉄砲によって水を掛ける。
その瞬間に出来た隙を狙って、無防備になっている美音へと真子が放水した。

「よく丸め込んだじゃねぇか。」

「え?ふふふ、まぁね。」

騒ぎ立てているメンバーを光は遠くから眺めていたが、静かに近寄ってきた莉乃に声を掛けられると笑みを向ける。

「どうやったんだよ、あんな連中纏めるなんてさ?」

「特にはなーんにも。彼女はヤンキーだと思ってるみたいだけど、素直なんだよね。」

「素直、なぁ……」

問い掛けられた光がはぐらかすように答えると、莉乃は釈然としない様子で水辺で騒いでいるメンバーに視線を向けた。

「言い返せない程に正論並べたら逆ギレせずに丸め込まれちゃうし、素直だよね。」

「お前、やっぱり嫌な奴だな……」

少し遅れて彼から返ってきた言葉に、莉乃は溜め息を吐いて答えてから踵を返しす。

「飲み物買ってくる。」

「1人で大丈夫?」

「馬鹿、最強ラッパッパに居たんだぞ?大丈夫に決まってんだろ!」

からかうように告げられた言葉に莉乃はむきになって言い返すと、走ってその場を後にした。

「最強ラッパッパに居た、ねぇ……」

逃げるように立ち去った彼女の背中へと何か言いたげに光は呟くと、水辺にいる彼女達に視線を戻す。

「冷たっ!おい、カミソリ!楽しそうにしてんじゃねぇ!」

「お前だって楽しそうに……あれ?」

火鍋のメンバーに無邪気に水を掛けている相手に、南那は声を弾ませながらも注意をする。
咄嗟に真子も反論をするが、何かに気付いた彼女は辺りを見渡した。

「橘先輩と咲良さん、どこ行った?」

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:37 )