§第4章§
03
「おい、そっちちゃんと持てよ!」

「力入れてんのかよ、しっかりしろよ!」

バスの中から用具を運び出す火鍋のメンバーを見ながら、真子と南那はニヤニヤと笑みを浮かべる。

「この調子じゃ……すぐ済んじゃいそうだな。」

「……任せちゃおうぜ。」

こそこそと言葉を交わしている2人が目に入ったのか、朱里は持っていた道具を運び終えると、2人の元に歩み寄る。

「お前ら、ちょっとは手伝えや。」

「だってぇ、重いの持ったら腕太くなっちゃうじゃないですかぁ。」

「先輩に譲ってあげますよ。」

睨みつけている朱里へと真子はわざとらしく猫撫で声で答え、南那は悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「お前ら……」

「こらこらー、先輩をあんまり困らせちゃ駄目でしょー。」

朱里が更に腹を立てて反論しようとした瞬間、にこにこと笑う光が仲裁へと入る。

「お前には関係……」

「仕方無いな……取ってきてやるよ。」

光の言葉に真子はすぐに口角を下げて言い返そうとするが、南那は目を反らして呟くと素直にバスへと向かった。

「おい!ゾンビ……」

「あらら。ゾンビちゃんは素直だなぁ。カミソリちゃんは……」

南那の背中を見てから光は真子に視線を戻すが、彼女は睨み付けてその場を離れようとする。

「あらー……怒らせちゃった。りゅーくーん!」

真子の様子を見てくすくすと笑ってから、遠くで作業を行っていた相手の名前を呼んだ。

「どうしたの?」

「カミソリちゃんがさー、全然みんなに協力を……」

「そんな事無いですよー!」

隆治に現状を告げる光を押し退けるようにして真子は戻ってくると、にこにこと笑みを浮かべながら告げる。

「早速、お手伝いしてきますねー!」

真子は機嫌良さそうに言うと、隆治に頭を下げてから道具を運ぶべくバスの方向へと掛けていった。
その後ろ姿を見てから、彼は咲良の元へと歩み寄る。

「ありがと、手伝ってくれるんだね。」

「馴れ合いに来てる訳ではない。………だからといって……」

「何もしない訳にはいかないって事だね。だから1人で黙々と荷物運んでるのかぁ。」

問い掛ける彼に咲良は手短に答えると、隆治は納得したように小さく頷いた。

「もう良いか?そろそろ運びたい。」

「あっ、ごめん。」

冷たく言い放つ彼女に隆治は謝罪をすると、咲良は荷物を手にするとその場を離れていく。

「どう?彼女馴染めそう?」

「うーん……馴染む気配は無いかな。というか、それが目的じゃないんでしょ?」

彼女が立ち去った後ににこにこと笑いを浮かべながら光が現れると、隆治は小さく溜め息を吐きながら尋ねた。

「へぇ……りゅーくんはどう考えてるの?」

「宮脇さん使って、また何か企んでるんじゃないの?」

悪戯っぽく笑いながらも光は彼へと問い返すが、隆治は取り乱す事なく真剣な眼差しを相手へと向ける。

「ま、派手には動けないよ。………立場が立場だしね。」

「……分かってるけど。」

「そういうこと。ま、咲良ちゃんとの手合わせ以外はキャンプを楽しみなよ。」

彼の一言で緊張が解けたのか隆治は小さく息を吐いてから答えると、光はくすくすと笑いながら火鍋メンバーの元に歩いていった。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:36 )