§第4章§
02
「本気でバス貸し切りやがった…」

「言ったじゃん、それくらいの準備はするって。…けど、私服が一蹴されたのはなぁ…」

「それは絶対に無い!」

貸しきられているバスに、少し興奮した様子で朱里は呟く。
光は得意気に笑った後に却下された提案を再度持ち出そうとするが、乗っているほとんどのメンバーから否定の言葉を受けた。

「はいはい、分かりましたよー。」

「焼肉とか久々だなぁ…」

「何で姐さんまで来てるんすか…」

苦笑いする光を見てから莉乃がしみじみと語ると、今度は美音が苦笑いしながら指摘する。

「あっ、ヲタ姐さんごめん。ホルモン忘れちゃった、意図的に。」

「ふざけんなよ!…ってかなんで名前…まぁ良いか。安心しろ、ちゃんと持参してる!」

話題が出た為に光は悪戯に笑いながら告げると、莉乃は一瞬驚くものの持参したホルモンを鞄から取り出す。

「あーあー、ほら姐さん貸して!クーラーボックス入れるから。」

「はーい。」

くすくす笑いながら告げた彼に莉乃は素直にホルモンを渡すと、光は持っていたクーラーボックスにそれをしまった。

「うーん…」

「どうしたんだ、カミソリ?」

「咲良さんと橘先輩が横並びで座ってる…複雑な心境だ。」

そのやり取りを横目で見ていたが、隣に座る真子が難しい表情を浮かべていた為に南那が尋ねる。
彼女は複雑そうな表情を浮かべたまま答えると、南那もそちらに視線を移した。

「ごめんね、光が無理矢理誘って。」

「てっぺんに必要なものを教えて貰いに来ただけだ。」

「うん、分かってるよ。」

賑やかな車内の中で静かに外を見る咲良に隆治が謝罪をすると、彼女は窓の外を見ながら返事をする。

「ねぇ…寸勁さ、どこで覚えたの?」

「…関係ない。」

「僕もさ、寸勁使えるんだけど…あんなに完璧な寸勁を見たのは久々で。」

問い掛けられると彼女は素っ気なく返事をするが、続けられた言葉には少し驚いたように彼の顔へと目を向けた。

「過去を話すつもりも無い。…少し寝る。」

「そっか…おやすみ。」

しかしながら静かに告げて目を閉じると、隆治は諦めて彼女にそっと返事をする。

「はぁ…橘先輩優しすぎる…クールな咲良さんも格好良いし…」

「そんなに入れ込んでんのか?」

「…まぁ、ね。」

隣の真子に南那は首を傾げながら尋ねるが、彼女はうっとりとした様子でそれに答えた。

「私はどちらかと言えば…光って人の方が…」

「はぁ、ゾンビふざけんなよ!」

南那が然り気無く告げた言葉が耳に入ったのか、涼花が直ぐ様彼女の発言に噛み付く。
その声の大きさの余り、先程の賑やかさが嘘のように静まり返った。

「なっ…何だよ…何で静かになんだよ… 」

思ってもいない流れになった事に涼花は焦って告げるが、多くのニヤニヤと笑う視線が彼女を捉える。

「ほほぅ、これは姐さんに話して貰わなきゃなぁ。」

「おい、クソガキ!今のどういう意味だよ!」

「うるさい!何でもない!聞くな、寄るなっ!」

莉乃と朱里が彼女を挟む形に移動して両脇をホールドすると、意地悪に笑いなかがら2人は問い掛ける。
逃げる事が叶わなくなった涼花はむきになって不満の声を上げながら、尋問から逃れようと足をばたつかせた。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:35 )