§第3章§
04
「いやー、本当に見事なお説教だったなぁ。」

「もう良いよ、そこまで言われると恥ずかしいから…」

先程の事を掘り返すように光が告げると、隆治はうんざりとした様子で彼に言葉を返す。

「でもさ、ちょっと違うんじゃない?」

「え?」

「ほら…多分咲良ちゃんはアドバイスなんかした訳じゃないよ。」

しかしながら否定の言葉を受けると、隆治はぽかんとしたまま彼の話に耳を傾けた。

「なんというか、自分の考え方をそのまま言っただけだと思うけど。」

「…そう、なの?」

「まぁ、推測にはなっちゃうけどね。」

確認するように隆治が問い掛けると、光は機嫌良さそうににこりと笑みを向けて答える。

「それじゃあ、僕が言ったのって…」

「あはは、彼女達には響いたかもしんないけど咲良ちゃんの意図とは異なったものになっちゃったかもしれないなぁ。」

自らの失態に気付かされた隆治は困ったように頭を抱えながら、小さく溜め息を吐いた。

「最悪…」

「あんなにお説教格好良くしたのにねー?それが原因で2人が咲良ちゃんの舎弟になる、なーんて言い出したら面白いんだけど。」

「面白くないよ…僕恨まれるじゃん…」

彼がへこんでいる様子を見るのが面白いのか光はさらにからかうように言葉を続けるが、隆治は意気消沈した様子で答える。

「あ。あともう1つ。」

「何?まだあるの?」

思い出したように光が話題を切り出すと、隆治は完全に困り果てたように話すことを促した。

「さっきの組み伏せた流れは素直に完璧だったと思うよ。」

「…ありがと。」

「けど、忘れてたでしょ?」

「…何を?」

相変わらず遠回しな表現をする相手に、隆治は少々苛立つようにしながら質問を重ねる。

「魅了、しっかり発動してるからね。」

「嘘だ!だってあの囲まれたのを切り抜けた時は…」

「まぁまぁ、話は最後まで聞いて。」

告げられた内容に隆治は咄嗟に言い返すが、光はくすくすと笑いながら彼を宥めた。

「僕自身の能力を使って試してみたんだけど…能力が戻ったのは記憶が戻ってから約24時間経過した時なんだよね。」

「…そこまでしっかり調べてるんだ…」

完璧な調べがついている為に否定が出来ない事を悟ると、隆治は腕を組みながら頭を悩ませる。

「だから、今度からはグローブ忘れずに持ち歩くようにね。」

「…そうだね。」

光は助言するものの、何か能力による騒動が回避する策が無いかを探す隆治は適当に返事をした。

「…あっ!光が彼女の記憶、僕の時みたいに戻してくれたなら…」

「だーめ。記憶操作受けてないのが僕とりゅーくん、激尾古の菜々ちゃんの3人だけでひやひやしてるのに…あと1人増えたら気付かれる危険性が高くなるから。」

「…なるほどね。」

良策を思い付いたのか隆治の表情に笑顔が戻り提案をするが、光は指を交差させてバツを作るようにしながら即座に一蹴する。

「だから、自分の力で何とかしてくださーい。」

続けられる言葉に完全に策を見失った隆治は、今度は深々とした溜め息を吐いた。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:33 )