§第2章§
05
「ほら…パン買ってきたぞ。」

体育館裏の壁に寄り掛かって何かを待つ少女に男はパンの入った袋を差し出すが、その瞬間彼の頬へと痛みが走った。

「何回言わせたら分かるんだよ。敬語使えって言ってるだろ。」

「年は俺が…」

小嶋真子は地面に落ちた袋を拾い上げながら告げるが、二階堂純はその内容に反論しようとする。
真子は表情に不機嫌さを露にすると、先程とは反対側の頬へと手刀を使って切り傷を作った。

「知るかよ。うちらにあんな事しといて、彼女に捨てられて。可愛い後輩が絡んでやってる事に喜ぶべきだと思うんだけどな?」

尻餅を着いている彼に悪戯っぽく笑いながら告げると、再び手刀の構えを取って相手に向ける。

「カミソリ!」

腕を振ろうとした瞬間、真子は自らの愛称を呼ばれてそちらを向く。
息を切らして現れた大和田南那の姿に、真子は首を傾げた。

「なんだ、まだこいつと遊んでんのか?」

「良いじゃん、まだ使えるんだから。」

しかしながら純の姿が目に入ると、南那は嫌なものを見たように眉間に皺を作る。
しかしながら真子は笑うようにしながら視線を再び彼へと向けた。

「あっ!今こいつゾンビの脚やらしい目て見てたぞ!」

「……っ! 」

その時に気付いたのか、純の視線が南那の脚を捉えている事に気付くと真子は声を上げる。
声にならない声を上げてから、南那は純を思い切り蹴りつけた。

「あんた、そんな性格でこの学園では生きてけないんじゃないのか?」

「確かに。ラッパッパから捨てられたんじゃ誰も寄り付かないって言うか、寄り付けないって言うか。」

自らの脚を気にしながらも南那が苛立って言うと、真子もそれに便乗するように告げる。

「見るだけなら仕方無い、ゾンビの脚でも指くわえながらながら見ときな。」

「なんで私が見せなきゃいけねぇんだよ!お前が見せろよ!」

「なんでこんな奴に見せなきゃいけねぇんだよ!」

ニヤニヤとしながら真子が悪戯に告げるが、南那はそれにむすりとして反論した。
笑みを浮かべていた真子も、相手からの発言に不満げに口角を下げる。

「俺はどっちの脚も好みで…」

仲裁するように純は口を開くが、その瞬間に南那の蹴りと真子の手刀が同時に彼に直撃した。

「それで、慌てて走って来たみたいだったけど…何だったんだ?」

「ああ!2年の火鍋がボコられたらしいんだよ!」

息を吐いてから真子が改めて尋ねると、南那は思い出したように聞いた噂を報告する。

「火鍋が?まぁ、ケンカの腕は多少あるけどよ…誰がボコったんだ?」

「噂の転校生らしいぜ!初日からやるよなぁ。」

火鍋の不甲斐なさに、真子はその報告を聞いて鼻で笑う。
南那の続ける言葉に、彼女は不敵な笑みを浮かべた。

「…どうするよ?」

「そりゃあ…やるしかないだろ。」

笑いながら尋ねる真子を見て、南那もニヤリと笑みを浮かべると彼女に答えを返す。

「1年最強コンビ舐められる訳はいかねぇだろ。」

2人は声を揃えて言うと、ターゲットとなる人物の元へと足を進めた。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:30 )