§第2章§
04
「みんな、大丈夫かな?」

「お前は…」

室内に入ってきた2人の姿を見ると、朱里はよろよろと立ち上がりながら口を開く。

「おい…こいつらの事…少し頼むぞ。」

「ウオノメちゃんは?」

「…少し咲良の所に行ってくる。」

その後光へとメンバーの事を依頼すると、自身は出口に向かって歩いていく。
彼の質問に足を止めて答えると、やがてドアをなんとか開けて姿を消した。

「寸勁受けたのは君だね。名前は…」

「ドドブスちゃん。」

「ブス…って顔じゃないけど…」

先程寸勁を受けていた玲奈に隆治は近付くと彼は迷ったように声を掛けるが、光からの声を受けて彼女の側でしゃがみこむ。

「そんな事より、ゆーっくりお腹で呼吸して。ゆーっくり、ね。」

「…あ…」

「ちょっとは楽になった?」

玲奈は素直に彼の指示に従うと、驚いたように彼へと視線を向ける。
それを見て効果があったと悟ったのか、隆治は柔らかく笑いかけた。

「どう?」

「やっぱり、これで楽になるなら…紛れもない本物の寸勁だよ。」

近付いてきた相手に光は問い掛けると、隆治はどこか悔しげな様子で報告を行う。

「なんでお前らがここに居るんだよ…」

「ん?転校生の実力を見るためにね。…まぁ、他の3年生は興味無さそうにしてたけど。」

そんな中、会話を横切るように声を荒らげる奈月に光はのんびりと答えながら、隆治に救急箱を渡すとジェスチャーを使って彼女を治療を依頼した。

「さ、クソガキちゃんも傷の手当てしようねー?」

「やめろ!…近寄んなっ…!」

「あははっ、そんなまともに動けない身体で拒否したって。」

奈月の治療を行う隆治を見てから光はいつもに増して楽しげに笑い涼花に近寄るが、彼女は全力で拒否の言葉を彼へと告げる。

「…なんで光はあんな楽しそうで、クソガキちゃんって子は嫌がってるの?」

「…彼女なんだよ。」

「えっ!?」

「表向きの、だ。…じゃなきゃ、うちらと関われないからな。」

疑問を呟いた隆治に、美音が呆れた様子で2人を見ながら答える。
隆治は思わず驚きの声を上げるが、彼女は溜め息を吐いてから彼に説明を続けた。

「ほら、終わったよ。」

「…人の身体べたべた触りやがって…」

救急箱を閉めるながら光が告げると、涼花は彼に視線を向けまいとしながら不機嫌そうに答える。

「あははー、またそんな事言ってー。 」

「だから触るなって!」

そんな彼女の頬を彼がつんつんつつくと、涼花は噛み付くように彼へと抗議の声を上げた。

「…満更じゃなく見えるんだけど。」

「奇遇だな。…私にもそう見える。」

一部始終を見ていた隆治がぽつりと呟くと、美音も小さく頷くようにしながら答える。

「さて、と。りゅーくん、ウオノメちゃんを探しに行くよ。」

「彼女も怪我してるもんね。」

名前を呼ばれると、隆治はもう1人を探すべく部屋を後にした。
光もその後に続いて部屋を出る際に涼花に手を振るが、彼女はすぐにそっぽを向く。

「…勝手だよな。」

「ああ、本当に。」

室内に火鍋のメンバーしか居なくなると、玲奈と美音は困ったように言葉を交わした。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:30 )