§第2章§
03
「場所は…ここみたいだね。」

「ふふふ、間に合って良かった。」

言葉を交わしながら2人が教室を覗き込むと、転校生の周囲を取り囲んでいる火鍋の姿を見つける。

「けど…なんで光は火鍋の子達と関わりが?」

「それはまぁ、色々と深い理由がありまして…あ!始まるよ。」

質問に光は相変わらず曖昧に答えるが、その後に転校生が行った行動に目を丸くした。

「…!あれは…」

「どうしたの?」

スカーフを外して戦闘モードに切り替える転校生に驚きのあまり言葉をもらすと、隆治は室内から隣に居る相手に視線を移す。

「前田敦子ちゃんの眼鏡の話は知ってるよね?」

「あ…リミッターみたいな。」

「そして…プリズンでのパルちゃん…まさか普通の子でリミッターを解除する子が出てくるのは予想外だったなぁ…」

光から問い掛けられると、隆治は思い出したように答える。
転校生の戦う姿を目で追うようにしながらも、光はどこか感慨深そうに呟いた。

「やっぱりさ、それは…誠が送ってきた刺客だからじゃないの?」

「うーん、まだ何とも…というか転校生強いなぁ…5人を相手に余裕で戦ってるじゃん。」

嬉しそうに光とは対称的に、隆治は疑うような眼差しで5人を相手にしている転校生を見つめる。
その彼女がギアを上げてきたのか、火鍋のメンバーは1人また1人と床に倒れていった。

「だけど、火鍋ってグループの実力がこの程度なら…」

「あはは、ほら。壁に追い込んだじゃん。」

玲奈が転校生を壁際へと追い込んだのを見て、光はその状況を喜んでいるように笑う。

「ちょっとピンチかな?でも仮にりゅーくんがあの状況なら…」

「うん、絶好のチャンスだね。」

光から問いかけられるとその状況から目を離さないまま答えるが次の瞬間、今度は隆治が驚いた表情を浮かべた。

「今のって…!」

「…ふふふ…あははっ!あの転校生面白いや!完全に寸勁だったね、今の。」

「しかも完全に形になってるものを…」

2人が衝撃を受けている間に、転校生は5人を床に横たわらせてから部屋の出口へと足を進める。

「あっ!出てく…」

隆治はどこかに姿を隠そうとするが、光が彼の腕を掴むようにしてそれを阻止した。

「やあ、見事な戦い方だったね。」

「…見てたんですか?」

部屋から出てきた相手に早速光は声を掛けると、彼女は表情を変える事なくそれに答える。

「そう。ぜーんぶ見てたよ。」

「…そうですか。」

彼の言葉が全く気にならないのか、彼女は適当に返事をしてからその場を後にしようと踵を返した。

「だから、君には負けない。」

しかしながら光が次に口にした言葉を受けて、彼女は動きを止める。
その後、真っ直ぐな視線を彼へと向けた。

「てっぺんに行く邪魔をするなら、道を開けて貰う。」

「拳を交える機会が無いことを願うよ。」

落ち着いた声で告げる相手に光は笑って返事をすると、彼女は背中を向けてその場を立ち去る。

「ふふふ、無愛想だなぁ。」

「大丈夫なの?やっぱり誠の仲間ならあんなこと…」

「今ので僕は、無関係だって確信したけどね。」

可笑しそうに光は告げるが、隆治は不安そうに問い掛けた。
そんな彼に光はウインクをしながら答えると、再び室内へと向ける。

「そんな事より、中に入って火鍋ちゃんの手当てしてあげなきゃ。」

光の言葉で思い出したように隆治も室内を見ると、2人は扉を開けて横たわる火鍋メンバーの元に駆け寄った。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:29 )