§第2章§
02
「あれ?転校生来ない…」

「別な学年なんじゃない?ちょっと小柄だったしね。」

朝のホームルームを終えて転校生が紹介されなかった事を隆治が呟くと、光は考えるような仕草を見せながら答える。

「あらら?ひょっとして…気になっちゃった?」

「そんな訳無いじゃん!」

からかうようにニヤニヤと笑みを浮かべた光が問いかけると、隆治はむきになって反論した。

「でも、ちょっと気付いちゃった事があってさ…」

「気付いちゃった事?」

しかしながらその直後、隆治は声を低くして言葉を続けていく。

「僕ってさ…今玲奈より年下な事になるんだよね?」

「あははっ、そうだねぇ。玲奈ちゃん卒業しちゃってる訳だし。」

落ち込んだように告げた彼へと、光がからかうように声を上げて笑った時だった。

「おい!」

玄関で声を掛けてきた人物とは別の女子生徒に声を掛けられ、2人は支線をそちらに向ける。

「な、何ですか?」

「テメェら…もしかしてゲキカラさんの話してんじゃねぇだろうな?」

驚いた芝居をしながら光が問い掛けると、女子生徒は2人を睨み付けながら尋ねた。

「あははは!そんな訳ないじゃないですか!」

「そんな…ゲキカラさんの下の名前なんて知りませんし。」

光は笑ってから隆治に目配せをすると、彼も落ち着いた声で光に賛同するように答える。

「紛らわしい事言ってんじゃねぇよ。」

女子生徒が舌打ちをしてからその場を離れると、2人は同時に息を吐いた。

「…これが、現状なんだよね。」

「あららー…これは堪えちゃった?」

机にうつ伏せになりながら隆治が言うと、光は彼を慰めるように肩をぽんぽんと叩く。

「仕方無いよ、今は…けど、絶対に迎えに行くから。」

「あはは、りゅーくんも一途だなぁ。」

「…分かったら、その呼び方も止めて欲しいんだけど。」

顔を伏せながらも口にした意を決するような発言に光が笑うと、隆治は身体を起こして彼を白眼視した。

「おい!転校生が早速やらかすらしいぜ!」

「誰が相手するんだ?」

「同じ学年の火鍋連中とやりあうんだってよ!」

「年下は、年下でやらせとけば良いだろ。」

教室に入ってきた1人の生徒が告げた言葉に室内の生徒がざわつき始めると、隆治と光は顔を見合わせる。

「…どうする?」

「僕達はちょっと見にいかなきゃいけないかもね。」

質問を受けた光は答えるや否や廊下に出ていくと、慌てて隆治もその後を追った。

「光、なんか嬉しそうだけど。」

「えっ?分かる?」

小走りをしながらも隆治が尋ねると、光はスピードを落とす事なく小走りを続けながら答える。

「転校生の実力が見れるからって…」

「違う違う!それもあるけど…火鍋ちゃんが関わってるのが面白くてね。」

「…はいはい。」

話が終わる前に光が含み笑いを浮かべながら答えると、隆治は呆れながらも慣れた様子で相槌を打った。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:29 )