§第2章§
01
記憶が戻った翌日、隆治は複雑な心境を抱えたまま横に並ぶ光と共に学園を目指していた。

「一緒に行動する理由、やっぱり納得いかない…」

「あはは、納得はしてくれなくて良いよ。ただ、協力してくれるだけで。」

どこか不満そうに隆治は告げるが、光は楽しそうにくすくす笑いながら彼の横並びになって足を進めていく。

「不満はそれだけじゃ無いんだけど。」

「何?まだあるの?もー、りゅーくんはわがままだなぁ。」

溜め息を吐いて再び隆治が話題を切り出すと、光は機嫌良さそうなまま彼へと問いかけた。

「この年で高校生って…どうなの?」

「あはははっ!そこは気にしたら敗けだよー。」

深刻そうな表情を浮かべながら告げる彼に、光はより一層声を大きくして笑った後に周囲に気を配りながら静かに答える。

「…あれ?」

「どうしたの?」

先程まで機嫌良さそうにしていた光であったが、何かに気づいたのかぴたりと足を止めると首を傾げた。

「あの女の子、見たこと無いなぁと思ってさ。」

「…そんなに女の子覚えてるの?」

「そりゃそうだよ。顔をはっきり覚えなきゃ流石の僕でも能力は生かせないからね。」

指差された方向を見てから隆治は告げられた内容に若干引いた様子で返答するが、彼はそれを気にしていない様子で前の少女の観察を続ける。

「やっぱり、確かめよう!」

「あっ、光!いくらなんでもそれは…」

意を決したように告げた光を止めようとするが、彼はそれよりも早く彼女の元に駆け寄っていった。

「こんにちは!」

急に彼女の前に姿を現すと、彼はにこやかに挨拶をする。

「…何ですか?」

「あなたは転校生?」

「…何ですか?」

突然の出来事にも彼女は驚いた様子を見せず、彼が問い掛けても淡々と言葉を返した。

「いや、何でもないですよ。ふふふ、どーも。」

問い掛けられた光はにこにこと笑いながら答えると、彼女の前から立ち去り隆治の元に帰ってくる。

「今の話で何か分かったの?」

「いや、なーんにも。」

隆治から早速質問を受けるが、光は考える素振りも見せずにさらりと返答した。

「じゃあ話した意味無いじゃん!」

「意味はあるよ、大事な意味合いが。」

「…えっ?」

呆れたように隆治は言うが光の雰囲気が真剣なものになったのを悟ると、疑問の声を上げてから静かに彼の回答を待つ。

「ほら、ここは誠くんのお仲間の手が回ってるでしょ?…彼女も彼の仲間かどうか、知らなきゃいけなかったから。」

「そっか…ん?でも仲間だったら今の質問は結構危険じゃ…」

「あはは、そうかもね。」

一時は納得をするが自らの疑問を笑い飛ばした彼の反応に、隆治はもう1度溜め息を吐いた。

「でも大丈夫、彼女はなんというか…都会で育ってない雰囲気あるから。」

根拠の無い理由に隆治は適当に数回頷いていたが、2人の前に1人の女子生徒が現れる。

「テメェら、朝から何ペチャクチャ喋ってんだよ!」

「あっ…!」

「ふふふ。りゅーくん、逃げるよ!」

苛々を募らせている様子を察した光の声を受けて、2人は逃げるように校舎へと掛けていった。

こらるめんて ( 2015/10/08(木) 17:28 )