§第19章§
03
馬路須加学園にて真子と南那が不満の声を上げていたのとほぼ同時刻、激尾古高校でも同じように不満の声が上がっていた。

「アントニオ姉さん、本気で言ってるんですか?」

「ウチらやって、絶対にアイツら潰せます!」

美瑠と楓子は提案に対して声を荒らげるが、彩は彼女らの提案には耳を貸そうとしない。

「何とか言ってくださいよ!」

「アントニオ姉さん!」

しかしそんな彩の態度に更に熱意が増したのか、美瑠と楓子は折れることなく呼び掛けを続けた。

「さっき、言った通りや。アンタらは連れていかん。」

「ふふ、残念やったな。」

煩わしくなったのか彩が眉間に皺を寄せてから言うと、美優紀がそれに言葉を続ける。

「ま、アンタらは学校守っといてや。ウチがアンタらの代わりに……」

「何なんだよ、だからお前。突然現れたくせによ。」

「まだこっちは認めてねぇんだからな。」

そのやり取りを見た菜々は慰めるようにフォローしようとするが、2人には逆効果だったのか睨みながら不満を口にした。

「止めえや、アンタら。」

騒がしくなってきたことに呆れた様子で彩が再び口を開くと、ようやく美瑠と楓子も菜々から視線を外し彩へと向ける。

「今は仲間内で争ってる場合やないんや。分かるやろ?」

「でも、納得せえへんで?この2人。」

比較的穏やかに彩は言うが、先程のことをまだ許していないのか菜々が即座に指摘した。

「ウチらがやり合うのはただのヤンキーちゃうねん。」

「だからって……」

説明を最後まで聞く前に美瑠は反論をしようとするが、彩に手で制されて大人しく口を閉じる。

「仮にやで?……ウチらになんかあったらどうするんや。」

「なんかって、アントニオ姉さんになんかあるわけ無いやないですか。」

美瑠が静かになったのを見て彩が言葉を続けるが、それを聞いて今度は楓子が笑った。

「アホ。何かってのは喧嘩の負けやない。……社会的に負ける、ってやつやな。」

彩の話を最後まで聞いた2人だったが、疑問を持った様子で美瑠と楓子は顔を見合わせる。

「ようするに、お巡りさんのお世話になることやな。」

「そうなったら、激尾古は誰が守るんや。実力者のアンタらには残って貰いたい。」

簡単な言葉に言い換えて美優紀が説明をすると、彩は根拠を交えながら説得を行った。

「らしくないですよ、アントニオ姉さん。」

「ほんまや、らしくない。」

明確に理由が告げられたのにも関わらず、楓子と美瑠は彩へと向かって笑って見せる。

「どういう意味や?」

「まぁまぁ聞いてみようや。」

未だに納得しない2人の言葉に彩は腹立出しそうに尋ね返すが、美優紀は2人に続きを話すよう促した。

「アントニオ姉さんが守ってきたこの学校、そんなに軟弱なんですか?」

「後輩も腑抜けばっかりやない、骨のある奴もおるんちゃうかと思いますけど。」

今度は2人が彩を説得しようと必死になり、彼女達の言葉にも自然と力が加わる。

「めっちゃ言ってるやん。」

「ふふ、今回はこの2人も強気やな。」

その姿を見て菜々はこっそりと耳打ちをすると、美優紀はどこか嬉しそうに呟いた。

「ウチは知らんぞ。勝手にせい。」

美瑠と楓子の主張を受けて暫く間が空いた後、彩は溜め息を吐いてから言い残して部屋を後にする。

「あれがさや姉……ちゃうちゃう、アントニオなりの許可やろ。」

「良かったな、2人とも。やるからには徹底してじゃぶじゃぶして貰うで?」

唖然とする2人に菜々と美優紀が声を掛けると、美瑠と楓子は力強く首を縦に振った。

■筆者メッセージ
らしくない、を言わせたかったんです、はい。
こらるめんて ( 2017/04/29(土) 11:38 )