§第1章§
04
〜数10分前〜

「やあやあ、お2人さん。」

「呼び出したの、お前?」

苛々したように告げる2人を前にしながらも、光は臆する事無くにこにこと笑みを向ける。

「カミソリちゃん、仁くんは?」

「は?…誰だよ、それ。」

カミソリと呼ばれた小嶋真子は、とある人物の名前を問われると苛立ったように尋ね返した。

「やっぱり覚えてくれてないかぁ…あっ、今回話したいのはそんな事じゃなくてさ。」

苛々とする真子を宥めるように告げながら、何かを取りだそうと自らのポケットに手を入れる。

「ラッパッパに取り合ってくれる人物を教えたくて。」

1枚の写真を取り出して彼女達の前に差し出すと、2人はそれを覗き込んだ。

「…誰だ?これ。」

「ラッパッパのマジックの彼氏、みたいだね。…彼ならラッパッパと連絡をつけてくれるかも。」

今度は真子の相方である大和田南那から疑問の声が上がると、彼は落ち着いた声で説明をする。

「別に、私らはラッパッパと仲良くしたい訳じゃ無いんだよ。」

「知ってる、知ってるよ。…ラッパッパと対決の場を設けてくれるんじゃないかなぁって。」

それに気を悪くしたのか真子が不機嫌な様子で声を上げると、光はすぐに説明を付け加えた。

「マジックと会って倒しちゃったら…ラッパッパがお2人を放っておかないんじゃないかな?」

「…お前、こいつと知り合いなのか?」

「ふふ、勿論。」

悪戯っぽく笑う彼が言葉を続けていくと、落ち着いてきた南那が彼へと質問を重ねる。

「…分かった、渡して来い。」

「一応先輩なんだけどなぁ…じゃあ、お手紙宜しくね。」

強気な態度で告げた真子に苦笑いするが、光はクスクスと笑うと手紙を書くのに必要な道具を彼女に差し出した。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「随分と可愛い1年生だけど…俺に何の用?」

「せんぱーい。私たち、ラッパッパに会いたいんですよね。」

「先輩ならなんとかなるって聞いたんですけどー。」

待ち合わせ場所であった体育館裏に純が姿を現すと、真子と南那は笑顔を浮かべながら告げる。

「なるほど、確かに俺だったらラッパッパのメンバーと話せるけど…」

純は小さく笑って告げるようにしながら、横並びになっている2人の間に入ると彼女達の肩に手を回した。

「お願いするなら、それなりの…なぁ?」

ニヤニヤとしながら告げると腕を回している状態を良い事に、2人の首筋の辺りから制服の中へと手を忍び込ませようとする。
それを悟った真子と南那は純から瞬時に離れると、相手を思いきり睨み付けた。

「…最低だな、お前。」

「こんな奴の助け、こっちが願い下げだよ!」

怒りを爆発させたように2人は告げると南那は彼を殴り付け、真子は彼へと手刀を浴びせる。
ばたりと倒れた相手を見下してから、彼女達は体育館裏を後にした。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「ゆりあ…ゆりあ…」

「純。どうしたの?」

音楽室に何とか帰って来た純は彼女の名前を呼ぶものの、ゆりあは何かに夢中になっているのか彼を見ないまま返事をした。

「1年にクソ生意気な奴が居てだな…潰しちまおうぜ…」

「生意気な1年…こんな奴?」

話を聞いて貰おうと純はゆりあに近寄ろうとするが、彼女から1年の2人組の制服に手を忍び込ませようとしている写真を突きつけられる。

「おたべさん、部外者が音楽室に入った時ってどういう意味でしたっけ?」

「…ラッパッパへの殴り込み、宣戦布告やな。」

修羅場に呆れている為か居合わせている他のラッパッパメンバーは口を閉ざしていたが、ゆりあから問い掛けられた由依はさらりと答えた。

「…縁を切る。…だから、今から部外者だ。」

「嘘だろ…?ゆりあ…?」

淡々と告げられるゆりあからの言葉に、彼は唖然としながらも彼女の名前を呼ぶ。

「ごめんねー?ふふふっ。」

軽い調子で謝罪をしたゆりあは力強く握り拳を作ると、それを思い切り振り上げた。

こらるめんて ( 2015/10/12(月) 23:45 )