§第1章§
01
「とにかく、まずは情報かな。情報は欲しいけど…」

校舎内を呟くようにしながら歩いている光であったが、座っていた男子生徒と目が合い苦笑いを浮かべた。

「ここの男子生徒…あんまり見覚えも無いな。…記憶を操作されたというよりは、研究所側のお人形さんな気もするけど。」

「おい!何キョロキョロしてんだよ!」

男子生徒から離れた後に考え込むようにしていたが、やがて前を通る女子生徒に声を掛けられる。

「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」

「ったくよ…」

即座に謝った光を見て女子生徒は舌打ちをしてから立ち去ると、困ったように光は息を吐いた。

「やっぱり、この立ち位置はやりづらいなぁ…あ、そうだ。」

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「何でウオノメしか知らねーんだよ!ってか呼び出される意味も分かんねーし!」

赤いジャージを着た一行の中で1番背の小さな人物が噛みつくように言うものの、5人の先頭を歩く人物は黙々と足を進める。

「21条2項。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない!…手紙の相手がウオノメが他の奴に内容ばらしたら会わないって言ってるからには仕方ないだろ。」

「知るかよ!なぁー、来るのかよ?」

不機嫌な相手にもう1人の人物が淡々と憲法を告げていくも、彼女はその内容にも噛みつきながら不満を再度口にした。

「静かにしろ。…そろそろ来るぞ。」

騒ぎ立てる一同にリーダーらしき人物が声を掛けると、5人は相手が来るであろう方向に5人は目を向ける。

「人気が無い場所に呼び出すなんて、なかなかやるよね。」

「どんな相手か気になるよ。」

一同のうちの2人が言葉を交わしていたが、足音が聞こえると口を閉ざして様子を伺った。

「やぁやぁやぁ。来てくれてありがとーございます。」

「男!?」

満面の笑みを浮かべながら姿を現した光に彼女らは驚きの声が上がるが、やがて5人は彼を睨み付ける。

「お前…自分の立場分かってんのかよ!」

「待てよ。…おい、何で呼び出した?」

喧嘩っ早い人物をリーダーと思われる人物が制した後に、彼女は睨み付けながらも静かな声で光に尋ねた。

「ちょっと学校の事を知りたくてさ。…仮にさ、女の子が男の子に負けたらどうなるの?」

「男に負ける?そんな事あったら、この学校での立場は無いようなものだよなぁ。」

光が臆する事なくいつもの調子で問い掛けると、ジャージを制服の上に襷掛けにしている人物は彼につられたようにのんびりと答えた。

「へぇー…そっか。」

「おい。…まさか勝てるとか思ってんじゃないだろうな?」

納得したように彼は数回頷いていたが、それが気にくわなかったのか、5人のうちの1人から不満の声が上がる。

「そんなそんな!滅相もない!そんな事思ってないよ!」

確実に苛立っている相手らに説明するように、光は両手を振るようにしながら必死に否定をする。

「…確信してる。」

しかしながら、彼はやがて悪戯っぽく笑うと先程の否定を一蹴するように言葉を続けた。

「はぁ?」

「てめぇ、あんまり調子に乗るのもいい加減にしろよ。」

光の態度に怒りのボルテージが上がったのか、2人が前に歩み出るようにしながら彼を再度睨み付ける。

「ウオノメ、こんな舐められっぱなしで良いのかよ!」

「…挑発かもしれない。こっちから手を出したら…」

「あっ、僕は一切手を出さないから!」

小さな彼女はウオノメと呼んだ人物に尋ねるが、光の様子を見て消極的な言葉を返した。
しかしながらにっこりと笑いながら告げた彼の言葉を受けて、彼女の表情は一変する。

「…今のでキレた。おい、やるぞ。」

リーダーの人物から許可が出ると、5人はそれぞれ喧嘩の構えを取り始めた。

「うらぁー!」

「さてさて。…腕が鈍ってなければ良いけど。」

暫く間が空いてから、5人は声を上げながら彼へと向かう。
その様子に光は呟いてから、ニヤリと小さく笑みを浮かべた。

■筆者メッセージ
前作よりもこっちの方が閲覧数多い!
やっぱり、最近の話題だけに関心が高いのがこちらなのかなぁ……
こらるめんて ( 2015/10/10(土) 23:33 )