§第1章§
06
1日の授業が終了し帰路に着いていた2人であったが、突然隆治は溜め息を吐く。

「なんでさ、光そんな狙われるわけ?」

「なんでって…なんでなんだろ。」

隆治は光へと疑惑の眼差しを送りながら問いかけるが、彼ははぐらかすようにしながら足を進めていった。

「あっ。あれって…」

「駄目だよ、気付かれないように隠れ…」

「あーっ!」

何かに気付いた光は言葉をもらすと、隆治は光の腕を引き物陰に隠れようとする。
しかしながら、光が見つけた人物が先に2人を見つけた為か声を上げながら駆け寄ってきた。

「見つけたで。…全部アンタのせいやろ!」

「今度は激尾古高校だよー…光どんだけ目付けられる事したのさー…」

独特の声質で責め立てる相手の服装で判断できた為か、隆治は呆れたように告げる。

「橘隆治。アンタにも言いたい事はあるんやけど…」

「えっ、なんで僕の…」

「煩い!」

彼女から名前を呼ばれた隆治は驚いて思わず尋ね返そうとするが、相手が一喝するように告げた言葉によって遮られた。

「まずはアンタからや、藤宮光。理由は分からんやろうけど…1発殴らせて貰うでっ!」

「駄目っ!」

相手が腕を振り上げた瞬間、隆治は光を押し退けると自らの身体を挺してその拳の1撃を受ける。

「…何やってんねん…アンタ…」

自らの拳が綺麗に入ってしまった為か、驚きと呆れが入り交じったような様子で彼女は隆治に問い掛けた。

「色んな人から目付けられてるし…多分…1人1人から殴られてたら光の身体がもたないから…」

「ね?隆治くんこんなに優しいから…許してくれないかなぁ、菜々ちゃん?」

手を差し出して隆治が立ち上がる手助けをしてから、光は菜々へと悪戯っぽく笑いながら尋ねる。

「そんなん、関係無いやん!悪いのはアンタなんやから!…あー!記憶無くしてて文句が一方的なんが腹立だしいわ!」

話が通じないと思っている為か、菜々は腕を組むようにしてから苛々とした様子で再度声を上げた。

「せめて他に記憶が弄られてへん人が居たら…あれ?ちょっと待って。」

頭を悩ませるように呟いていた彼女であったが、何かに気付いたように光の顔を見る。

「なんでアンタ、うちの名前知ってるん?」

「それはお互い様じゃない?そっちも僕達の名前知ってた訳だし。」

「それとこれとはちゃうわ!ウチが知ってたんは何故か記憶が…」

にこりと笑う彼へ菜々は不満そうに反論しようとするが、光が咄嗟に口を覆った為にそれは遮られた。

「…おっと、静かに。声上げないなら手、退かすから。」

辺りの様子を見ながら光が声を低くして告げると、菜々は数回頷く。

「光…今の動き…ラッパッパみたいな…どうやって…」

「隆治くんもこの位は本当は出来るんだよ。…ま、今は気にしなくてもいっか。」

呆然としている隆治へと光はのんびり告げてから、菜々の口元を覆っていた手を離した。

「記憶が戻る方法があるみたいやな。…それやったら…」

「えっ!?」

菜々は何かを思い付いたように告げてから、唐突に隆治の手を思い切り引っ張る。

「橘隆治、アンタはウチと来て貰うで。」

「待って待って!光、助けてよ!」

断れないように圧力を掛けながら菜々が彼の腕を引っ張っていくと、隆治は必死に光に助けを求めた。

「あちゃー…菜々ちゃん、あんまり派手な方法は取らないでよ?」

「煩い。アンタには関係ないやろ。…ほら、行くで。」

「痛たたたっ!光、助けてってばー…」

小さく笑いながら告げた光に直ぐ様反論してから、菜々は鍵となるであろう人物を強引に引っ張って姿を消す。
その際の隆治の必死な訴えは虚しく、光はおかしそうに笑いながら2人が立ち去るのを見送った。

■筆者メッセージ
やっぱり、マジすか4人気なんですね(笑)
こらるめんて ( 2015/10/14(水) 23:41 )