§第18章§
05
「ま、こんだけいりゃなんとかなるだろ。」

矢場久根商業高校のとある一室。
突然協力を申し出て来た連中から渡された資料を眺めるようにしながら田野優花は機嫌良さそうに告げる。

「しかし運が良かったよな、よく分かんねぇ連中だけどここまでしてくれるなんてよ。」

「ちょっと待って下さい。様子が……」

黙ったまま椅子に座っている谷口めぐの様子を見て、話を進めている優花へと古畑奈和は告げる。

「様子?ヘッド、どうした?」

肩をポンと叩かれて優花から尋ねられるが、めぐは指を組み口をつぐんだまま俯いていた。

「どうしたんだよ、マジスカを潰す良い機会じゃねぇか!そんな調子で……」

更に優花は言おうとするが、めぐは何も言わずにゆっくりと立ち上がる。
その直後、必死に訴えかけていた相手の腹部をめぐは殴り付けた。

「ごほっ……ごほっ……何すんだよ……」

「潰す良い機会?ふざけるな。」

腹部を押さえ咳こむ優花へと、めぐは冷淡に言い放つと今度は蹴りを先程と同じ位置目掛けて放つ。

「誰が頼んだよ、そんな余計なことしろってな。」

「違うんですよ。 」

うずくまっていた優花の髪を掴むようにしながらめぐは言っていたが、奈和の言葉を聞き乱暴に突き放した。

「どういうことだよ。」

「なんというか……その提案に来た奴の話が上手くて。用件を飲ませるのが上手いというか。」

話すように促され奈和が説明をすると、めぐは苛立ちを露にするように舌打ちをする。

「矢場久根も舐められたもんだな。」

彼女を刺激しないようにか、めぐが口を開いても周囲のメンバーは何も言うこと無く彼女へと視線を向けた。

「マジスカを潰した後はそいつらだ。絶対潰す。」

めぐはそれだけを告げると奥の部屋へと姿を消していく。
一同が困惑をする中、永尾まりやだけがニヤリと口角を上げていた。

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

「それで、準備は進んでんのかよ。」

「勿論。あの学園の子達も素直に話を聞いてくれましたから。」

矢場久根商業高校から離れたとある場所にて興里が思い出したように尋ねると、誠は嬉しそうに笑う。

「素直に?どうせ使ったんだろ?」

得意気に笑った彼を見て、興里は呆れたように笑いながら問いを重ねる。

「使った?ああ、能力ですね。そんなのは必要ないんです。」

「必要ない?」

「なんせ、物分かりの良い子達ですから。」

疑うような視線を相手から向けられるが、誠は柔らかく笑うようにして返答する。

「ま、こんな事で潰される奴らじゃない事を期待するけどな。」

「そうですね。本当に真っ直ぐで、単純で……物分かりの良い。」

興里が言い残して立ち去った後、誠は呟くようにしながら含み笑いを浮かべた。

■筆者メッセージ
再掲載になってしまい申し訳無いです。
こらるめんて ( 2017/01/15(日) 23:06 )