§第17章§
08
「良い眺めだろう。」

約束の場所に現れた隆治へと、先に到着していた遥香が声を掛けた。

「橘……期待外れじゃない事を祈るよ。」

「そう言われてもなぁ……頑張れるだけ、頑張ってはみるけど……」

どこか嬉しそうに告げる遥香へと、以前とは異なりしっかりとグローブを着けた隆治は自信無さげに答える。

「行くぞ、橘。」

掛けられた言葉に隆治が頷き、遥香が地面を蹴った瞬間だった。

「ソルトさん!」

屋上に姿を現した咲良が名前を呼ぶと、隆治に拳を放った遥香となんとかそれをいなした隆治は同時に動きを止める。

「咲良。お前なら分かるだろう……横槍を入れられるというものがどういう事か。」

「ごめんなさい、でも!バカモノさんとマジックさん、それにカミソリがやられたんです。」

冷静ながらもどこか不機嫌な様子で遥香は言うが、咲良は簡単な謝罪をしてから口早に状況を説明した。
それを聞き、遥香は表情を変えないままではあるが口を閉ざす。

「バカモノとは、火鍋とかいう奴らが一緒だったんだろ。どうしたんだ。」

「犯人を追いかけて、今は建物内を探し回ってます。」

考えている為か暫く無言を通していた遥香が問い掛けると咲良は得てい情報を相手に報告した。

「マジック達はどうした。」

「藤宮さんが気づいてくれたみたいで……3人とも今はヨガさんとおたべさん、あと藤宮さんが看病してくれてます。」

「藤宮に借りが出来たな……橘、何か心当たりは無いか。」

続けて耳にした咲良の情報に遥香は小さく呟くようにしてから、視線を隆治に向け彼へと尋ねる。

「僕は、ぴんと来ないな……今攻めてくる理由が……」

「見つけた、咲良。」

考え抜いた後に隆治は口を開くが、その発言はドアの開く音とそれに続いた言葉によって遮られた。

「カツゼツ……なんでお前がここに。」

「お前がてっぺん取り逃したから、喝入れに来てやったのさ。」

僅かな驚きを見せた後に咲良が問い詰めると、遥は楽しげにニヤリと笑いながら返答する。

「バカモノとマジックをやったのはお前か。」

「あんた、テッペンなんだろ?名前は知らないけど力任せの馬鹿はやっちまったなぁ。」

咲良に続けて遥香が問いかけるが、遥は動じることなく声色を変えずに質問へと答えた。

「カツゼツ……お前何をしたのか……」

「ふふっ、見ーつけた。」

一喝しようとした咲良であったが、今度は彼女の言葉がドアの開く音によってかき消される。
続けざまに姿を現した玲奈の姿を見て、隆治は目を丸くした。

「玲奈!?」

「ふふっ、ちょっと大事な話があって。……こいつら、誰?」

久々に行えた会話に玲奈は柔らかく笑んで言うがその直後に、彼を囲っている女性陣に厳しい視線を向ける。

「馬路須加学園の先輩と後輩!だから玲奈の後輩だよ。」

「なんだぁ。またりゅーくんに悪い虫がついたのかと思った。ふふっ、そのせいでここに着くのちょっと遅れちゃった。」

「……玲奈?」

宥めるように告げられた隆治の説明に玲奈は安心したのか機嫌を良くして告げると、その内容に引っ掛かりを覚えた彼は相手の名前を呼んだ。

「じゃあ、マジックさんとカミソリをやったのは……」

「名前なんて知らないよ。ただりゅーくん取り合うなんてバカな事してた2人はおしおきしたけど。あははっ!」

咲良が真っ直ぐに玲奈を見つめながら問うが、彼女は小首を傾げて返事をした後に小さく笑う。

「橘、咲良……この状況、どうするんだ。」

「どうするって言われても……」

「お困りのようですね。」

遥香に言われ理由は辺りを見渡していたが、今度は上空から拡声器による声が届いた。
全員が空を見上げると、1台のヘリが屋上に着地しようとする様子が目に映る。

「りゅーくん、気をつけて。私達が来たのはこの為だから。」

「お前は……」

着地したヘリのドアが開く瞬間に玲奈が警告するように隆治へと告げた後、機内から出てきた人物の姿に隆治は唖然とした。

■筆者メッセージ
再さん
拍手コメントありがとうございました(礼)
いえいえ!
勿体無いお言葉です!
しかしまぁ原作があってそれを使わせて頂いていますから、私の作っていない分の下地はしっかりしていますよね。
秋元先生をはじめとするスタッフさんのお陰様です(笑)

他拍手、コメント下さった方ありがとうございました(礼)

さて、宿泊施設の屋上がカオス。
普通ヘリが来るなんて信じられませんが、まぁ大きな屋上だったんです、きっと。
やっと玲奈ちゃんはりゅーくんに会えました。
が、バタバタして感動の再会とはならなかったようです。
こらるめんて ( 2016/02/02(火) 11:57 )