§第17章§
06
翌日。
涼花を除くチーム火鍋のメンバーは昨日と同じく李奈の前へと整列していた。

「よし、お前ら!ラッパッパに入るって決まったからには半端な覚悟は許さねぇからな!」

「なんか、昨日より暑苦しくなってない……?」

「……確かに……」

李奈が力説をしている中で、玲奈と美音はこそこそと小声で言葉を交わす。
それに気づいた李奈は玲奈の前へと歩み寄った。

「おい、なんか文句あんのか!」

「無い、無い!無いですっ!」

「……ったくよ、しっかり聞いとけよな。」

必死に訴える玲奈に李奈は舌打ちをしてから注意をすると、再びメンバーの前を行ったり来たりする。

「とにかく体力だ。体力があれば攻撃にも耐えられる!腕の力も上がる!とにかく体力を着けるんだ!腕立てよーい!」

「またかよ……」

「ああ?なんか文句あんのかよ?」

思わず不満を呟いてしまった奈月に今度は詰め寄ると、彼女は必死に首を振ってから1番に腕立ての用意をした。

「……どっかの……軍隊に……入る訳じゃ……ないよなっ……!」

「それくらい……ハードだけどなっ……!」

李奈のカウントする中、朱里と玲奈は腕立てを行いながらも小さな声で会話をする。

「話す余裕があんのか、よーし100回追加!」

張り切って告げる李奈の言葉に、腕立てを行っている全員から溜め息が出た。
その直後だった。

「何のためにもならない訓練だなぁ。そんなの必要ねーよ。」

座って様子を眺めていた晒しを巻き、改造している馬路須加学園の制服を羽織っている人物が李奈へと声をかけた。

「なんだお前?見た様子じゃマジスカの奴みたいだけどよ……誰に話してるか分かってねぇ訳じゃないよな?」

「勿論。咲良に負けた奴だろ?」

不機嫌になった李奈はその人物に歩み寄っていくが、彼女は余裕の雰囲気を崩さずに答える。

「あいつ、咲良の知り合いか?」

「さぁ……」

「お前ら、よーく見とけよ。」

ひそひそと奈月と美音が言う中、その晒しの少女は李奈を前にして羽織っていた制服を投げた。

「正しいやり方教えちゃるけん。」

「ふざけんのもいい加減にしろよ……」

李奈は言うと気合いを入れる動作を見せると、全力で拳を放つ予備動作として腕をぐるぐると回す。

「咲良は、これ受け止めたらしいなぁ。」

「あれから、こっちも色々と強くなったんだよ!」

怒鳴るようにしながら李奈は相手に向かって拳を突き出すが、その人物はひらりと身をそらしてその1撃を避けた。

「えっ?」

「避けた?」

先程の彼女の発言から受け止めると思ってたものの、簡単に避けた為に火鍋のメンバーからも驚きの声が上がる。

「真っ直ぐにぶつかりたい気持ちは分かる。ぶつかるにしても相手の技が見切れなきゃ意味がねえ。」

火鍋のメンバーに説明を行いながら、次々に行われる李奈の攻撃を簡単に避けていった。

「だからいくら殴られても良いから相手の技を見切れるようになるこった。見切るだけじゃ勝てないけど負けもしない。」

「舐めるのもいい加減に……」

苛立ちを募らせた李奈が叫びながら拳を振り上げると、それが自らに向かってくる前に彼女は李奈へと流れるように3発の蹴りを入れる。
暫く李奈は立っていたがやがて気を失ったように後方に倒れていくと、慌てて駆け寄った朱里が受け止めた。

「殴る方は、自然に回数重ねりゃ身に付くからな。」

「待てよ、お前誰なんだよ!」

倒れた李奈の方を振り返ろうともせずどこかに向かうとする相手に、朱里は声を上げて問い掛ける。

「カツゼツだ。咲良に聞けば分かる。」

簡単に答えたカツゼツ、兒玉遥はそれだけ告げると火鍋のメンバーの前から去っていった。

■筆者メッセージ
バカモノズブートキャンプ、早々にお開き。
こらるめんて ( 2016/01/30(土) 16:45 )