§第17章§
05
入浴を済ませた一行は、光の提案を受けてとある大きな部屋に集めさせられる。
その後再び彼が提案した内容に不満の声が多く上がったが、やがてそれも無くなった。

「はい、また上がりー。」

「マジック!アンタトランプ配る時になんかしてるやろ!」

2枚のトランプを手離したゆりあを見て、由依は指をさすようにしながら声を上げる。

「さぁ、どうでしょう?じゃあ次からおたべが配れば?」

「そんなんやったら……咲良の舎弟にやらせるわ。」

「こっちは舎弟じゃないっての!」

ゆりあの言葉を受けた由依は朱里を見ながら言うが、咄嗟に彼女は否定の言葉を返した。

「……単純な奴らだ。」

「良いんじゃないですか。これからは、協力しなきゃいけないんですから。」

四天王と火鍋、それに加えて真子と南那がトランプを行っている様子を見ながら、遥香の告げた言葉に咲良は答える。

「あいつらが溶け込めたのは咲良の舎弟のお陰かもしれないな。」

「舎弟じゃありません……仲間、なんです。」

ラッパッパ四天王の表情を見ながら遥香が言うと、咲良は小さく首を横に振ってから静かに言い換えた。

「どうだった?ソルトちゃんとのお風呂。」

「光……心臓に悪いからもうあんな助言しなくて良いよ……」

同じく遠くから眺めていた2人であったが先程の出来事を掘り返した光へと、隆治は深く溜め息を吐く。

「ソルトちゃんにやらないかドキドキ?それともゲキカラちゃんにバレないかドキドキ?それとも……別のドキドキ?」

「怒るよ。」

からかうように言葉を告げる相手に隆治は少しむすりとしながら言うが、そんな彼の肩をとある人物が叩く。

「マジック……」

「ゆりあで良いって言ったじゃん。……ね、1枚選んで?」

隆治の口にした愛称を咄嗟に指摘すると、ゆりあはにこりとしてから持参していたであろうトランプを隆治に向けた。

「お?マジック?見たい見たい。」

「お前は向こう行ってろ。」

光がそれを見ようと身を乗り出すと隆治に告げていた際の声色とは一変し、刺々しく彼へと言い放つ。

「怖いなぁ……ここまで露骨だと誰かを思い出すねぇ、りゅーくん?」

「え、えっと……じゃあこれ。」

状態が更に悪化するのを恐れて隆治は光の言葉を聞き流すと、ゆりあが差し出したトランプから1枚抜き取った。

「こっちに見せたら駄目だから。じゃあ、確認が終わったらこれを戻して混ぜまーす。」

ゆりあの行う動作を隆治はまじまじ見つめ、光はにやにやとしながら視線を送る。

「橘くんが選んだカードは……これ?」

「えっと……違う、かな。」

先程自分が見たカードとは異なったカードをゆりあが差し出した為に、隆治は困った表情を浮かべて答えた。

「あれ?おっかしいなぁ……あ。もしかして……」

「何、なに!」

「じっとしてて。……じゃあ……」

距離を詰めてくるゆりあへと隆治は言うが、彼女から一喝されると目を閉じてから動かないようにじっとする。

「じゃあ……これだ!」

「やっぱり、違うなぁ……」

「え?……マジ?」

自信満々にゆりあがポケットから取り出したカードを見て隆治は首をかしげると、ゆりあもそのカードを眺めながら首を傾げる。

「あれ?りゅーくん背中になんか入ってるよ?」

光が突然口を挟むと、隆治が拒否をする前に首元から背中目掛けて服の中に手を入れた。

「何して……」

「何か、こんなの入ってたよ?」

拒もうとする言葉を隆治が告げようとした際に、光はさっと服の中から手を抜く。
そして手にしたトランプを彼に見せると、にやりと笑った。

「えっ!?なんで光が……」

「お前、喧嘩売ってんの?」

驚いていた隆治であったが、その隣に居たゆりあは本気で苛立った為か低い声で光へと問い詰める。

「きゃー、マジックちゃんが怒ったー!」

「待てよ!逃げんなこら!」

部屋から逃げ去った光に向かってゆりあは怒鳴ると、その後を追い掛けるように部屋から出ていった。

「……問題は男2人か。」

「2人というよりは……藤宮光って方ですけどね。」

居なくなった2人を見送るようにしてから、隆治は再び深く溜め息を吐く。
そんな一部始終を見ていたソルトが落ち着いた声で言うと、咲良はどこか呆れたように答えた。

■筆者メッセージ
マジックと光くん、一生馬が合わないでしょうね。
こらるめんて ( 2016/01/28(木) 22:28 )