§第16章§
01
「咲良さん!肉まん食べませんか?」

「いーや、咲良さんはカレーマンだな。咲良さん、カレーマン食べません?」

「……いらない。」

ソルトとの決戦から数日後。
真子と南那の2人からそれぞれ手にしている中華まんを勧められるが、咲良はそちらを見る事無く答えた。

「……あいつら、馬鹿なのか?」

「弁当食ってる人間に、普通勧めないよなぁ……」

咲良の机に弁当が置かれているのを見て玲奈と美音は、火鍋をつつくようにしながら呆れたように笑う。

「おい、お前ら笑ってんじゃねぇ!」

「まぁ落ち着けよ。咲良にもゆっくり食わしてやれって。」

耳に入った言葉に南那は睨み付け、真子は噛みつくように言うが、朱里は宥めるように告げると2人の肩を組ながら火鍋へと歩み寄らせた。

「折角だから、ほら。食えよ。」

「どーせ勝手に食ってる奴がいるから一緒だしな。」

「ん?なんか言った?」

奈月が箸と皿を2人に差し出しながら告げると、涼花は隣を睨み付けながら言う。
その視線の先に居た光は、口にしていたものを飲み込んでから尋ね返した。

「ほら、機嫌悪くしないの。あーん。」

「なっ、何やってんだよ!そんな事したってな……」

「いや、食うんかい。」

箸で肉を掴みながら光が涼花の方へと向けると、彼女は真っ赤になり文句を良いながらも目を閉じて口を開ける。
その様子を見た玲奈は笑いながら指摘をし直後だった。

「んー!美味しー!」

「お前が食うのかよ!」

立っていた南那は咄嗟に光の元に寄り差し出されていた肉を口にすると、頬に手をあてながら嬉しそうに告げる。
それを見た涼花以外の火鍋のメンバーが同時に指摘をすると、それを受けて目を閉じていた彼女がようやく目を開けた。

「お前!何してんだよ!」

「え?肉があったら食べるでしょ。」

「そんな問題じゃねぇだろ!鍋つついとけよ!」

勝ち誇った様子で南那は涼花を煽ると、それにのせられて彼女はムキになって言葉を続ける。

「あー、もう!よそでやれよ!鍋が不味くなる!藤宮も煽るなよ!」

「えっ?僕が悪いの?」

息を吐いた朱里が2人を制してから光へと忠告すると、彼はにやにやとしながら返事をした。

「一気に緊張感無くなった、って感じだよね。」

「……そうですね。でも、私にはまだやる事がありますから。」

弁当を食べ終えた咲良に隆治が近寄り声を掛けると、彼女は火鍋の方を向くようにしてから答える。

「邪魔するで。」

その直後ドアが開くと同時に由依の声がすると、教室に足を踏み入れた彼女に続いて杏奈、李奈、ゆりあが姿を現した。

「ラッパッパ!」

「何しに来やがったんだよ!」

突如現れた彼女達に朱里と真子が声を上げると、駆け寄った火鍋のメンバーと1年の2人はラッパッパの四天王と対峙をする。

「もう敵対する必要無いやろ、そんな噛みつかんといてや。」

「まあ、ソルトさんの勝利で終わったけどな。」

「はぁ!?ふざけて……」

由依が小さく笑みを浮かべるようにしてから穏やかに告げると、それに続いて杏奈も嬉しそうに口を開いた。
その言葉へと南那が言い返そうとするが、火鍋のメンバーの間をを割って前に出た咲良が手で制する。

「咲良……」

「何ですか、用件は。」

心配するように朱里は彼女の名前を呼ぶが、咲良は真っ直ぐに由依を見ながら尋ねた。

「咲良。アンタを……いや、ちゃうな。正式にはアンタらをとあるイベントに招待しよう思ってな。」

由依は始めは咲良だけを見ていたが、言い直すと同時に火鍋のメンバー、一年コンビ、そして隆治と光へと視線を移す。
その後、先頭に立つ相手へと1枚の紙を差し出した。

■筆者メッセージ
もう、完全な日常ですわ。
はい。
こらるめんて ( 2016/01/19(火) 22:49 )