§第14章§
01
虎徹と遭遇した数日後。
咲良と真子、南那は退院をする隆治の元へと訪れていた。
退院の手続きを済ませた隆治が病院を出ると、咲良達3人もその後ろを静かに歩く。

「光が居ないのに、ゾンビちゃんまできてくれたんだね。」

「べ、別にあの人は関係ないだろ!……咲良さんに着いてきただけだっての。」

突然隆治かは上げられた名前に南那は真っ赤にすると、顔を背けてからすぐに反論をした。

「橘さん。」

「えっと……どうしたの?」

南那の反応に隆治と真子は笑っていたが、咲良が真剣な表情を浮かべて声を掛けて来た為に彼は驚きながらも返事をする。

「大事な話があるんです。」

「大事な話?」

真子と南那に目を向けられる中で咲良が言葉を続けると、隆治は足を止め身体を向けながら尋ね返した。

「……付き合って下さい。」

「なっ……」

「咲良さん!?」

真っ直ぐに見つめる咲良がさらりと告げると、南那と真子は驚いたように言葉を発する。

「えっと、宮脇さん……?それはどういう……」

突然の相手の発言に驚いているのか、隆治も困惑した様子で咲良へと説明を求めた。

「私には、勝ちたい相手がいます。ソルトさんもですが、それだけじゃない。……だから、特訓に今以上に付き合って欲しいんです。」

「あー……そっちの……」

「なんだぁ……」

問われた咲良が真剣に言葉を続けると南那は納得したように、真子はどこか安堵したように言葉をもらす。
それを耳にした隆治は小さく笑ってから、ゆっくりと頷いた。

「もちろん。僕なんかで役に立てればだけど。」

「ありがとうございます。」

返答を受けて咲良は表情をほころばせて礼を告げると、再び隆治は足を進めていく。

「でも、ソルトさん以外にそんなに勝ちたい相手がいるんだね。」

「はい。橘さんの力も、ソルトさんの力も借りて倒します。……許せない相手が居るんです。」

隆治に着いていきながら咲良は説明を始めるが、その相手を先日目にした真子と南那は無言で視線を交わした。

「……強いみたいだね。」

「はい、認めたくないですが……とても。」

深刻そうに告げる相手に隆治はどこか心配そうに告げると、咲良は彼の顔を見ないまま返事をして頷く。

「よう、お嬢ちゃん。また会ったな。」

背後から声を掛けられると、4人全員がそちらを向く。
その先には、にやりと不敵な笑みを浮かべる虎徹が立っていた。

「自分から私の前に出てくるなんて……とういう了見だ。」

「おいおいお嬢ちゃん。殺気ダダ漏れだっての。周り誰も居なくなったじゃねぇか。」

怒りを必死に堪えながらも咲良は告げるが、雰囲気を察して人気が無くなった辺りを見渡すようにしながら虎徹は答える。

「今の私は先日とは違う。」

「まぁ、焦るなよお嬢ちゃん。……で、そこのガキは何固まってんだ?」

相手を睨み付けながら咲良は構えを取るが、虎徹はそれを制するようにしてから隆治に声を掛ける。
彼は虎徹を視野に捉えたまま、ピタリと動きを止めていた。

「威圧されて固まったかぁ?それとも……嫌な事でも思い出したか?記憶ぶん取られててんならあり得ねぇ話だけどよー。」

隆治へと虎徹がにやにやとしながら告げると、咲良達は完全に硬直している相手へと目を向ける。

「橘先輩に、話しかけるな!」

「記憶……?どういう事だ。」

「お嬢ちゃんには関係ねぇっての。そんな事より、そいつとつるんでて良いのかよ?」

隆治を庇うようにして立った真子の言葉の後に咲良が鋭い視線を虎徹に向けたまま問い掛けると、彼は曖昧に返事をしてから尋ね返した。

「……何の話だ。」

「ま、そいつが教えれねぇのは当然の事だけどよ……」

話が見えずに咲良か疑問を口にすると、虎徹は意地悪な笑みを浮かべながら話を続ける。

「そいつ、俺の息子だぜ?」

彼が口にした言葉に3人が驚き隆治に視線を向けると、注目を受ける彼は顔を背けるように俯いた。

■筆者メッセージ
なんとまぁ、虎徹って人はりゅーくんのパパなんですって!
緊張が走ります。
こらるめんて ( 2016/01/02(土) 14:25 )