§第15章§
03
およそ1週間後に卒業式が控えている馬路須加学園内ではチーム火鍋のメンバーと真子、南那がこれまでにあった事を話していたが、他の生徒が騒ぎ立てている話を耳にして玄関へと急ぐ。

「なんだよ、てめぇら!」

玄関に現れたチーム火鍋と真子、南那の姿を目にして、馬路須加学園とは異なる制服を身に付けている集団は足を止めた。
声を荒らげて告げた朱里を見て、その集団の先頭に立つ人物は鼻で笑う。

「矢場久根高校のゲッコウだ、挨拶しに来てやったぜ。こっちはカイブンとルーキーだ。」

「わざわざ足を運んでやったんだぜ?」

「感謝して欲しい位だな。」

ゲッコウと名乗る少女、永尾まりやの紹介に続けて、カイブンと呼ばれた少女の武藤十夢、ルーキーこと川本紗矢は言葉を続けた。

「挨拶だって?」

「お前ら天下取った気でいるみたいだけど、あんま調子ぶっこかねぇ方が良いぜ。春になったら矢場久根が潰しに来るから宜しくな。」

突然の来訪が気に食わない為か不機嫌そうに尋ね返した玲奈へと、まりやは自信満々な様子でそれへと答える。

「最近はほんまに許可無く入ってくる奴が多くて困るわ。」

「おたべ!?」

呆れたように告げながらその場に由依が現れると朱里は思わず声を上げるが、その後杏奈と李奈、ゆりあも姿を見せた。

「これはこれは、ラッパッパのみなさん。なんでも転校生に負けての卒業だって?どこまでめでたいんだよ。」

「なんだと?」

まりやがからかうように告げた後に矢場久根サイドから笑い声が上がり杏奈は前に出ようとするが、由依が手を上げてその動きを制する。

「うちらは負けたんやから言われてもしゃーない。咲良とやり合ったらアンタらもそんな口利けへんくなるわ。」

「はぁ?何言ってんだよ。その咲良とか言う奴は不戦勝でてっぺんになった半端者だろ?」

落ち着いて返事をした由依の言葉を受けてからまりやが言い返すと、再び矢場久根サイドからは笑い声が上がった。

「半端なんかじゃねぇ……マジだよ。」

いきなり会話に割って入った咲良は、鋭い視線を向けながらゆっくりとまりやの前へと歩み寄る。

「お前が咲良だな?まぁ、春楽しみにしとけや。……これは土産だ!」

背中を向けて数歩進んだ後、まりやは突然振り返り咲良目掛けて拳を突き出す。
しかしながら咲良はさらりとそれをかわすと、まりやの腕を掴んだ。

「いつでも来い。相手になってやる。」

「てっぺんの余裕か?……今年は桜は咲かないそうだ。」

掴まれた腕を振り払い、捨て台詞を吐いてまりやが立ち去ろうとした時だった。

「……それは違うな。」

突然飛んできた言葉に、その場にいた全員の視線がそちらへと集まる。

「ソルト!?」

「ソルトさん!」

「ソルトさん……」

馬路須加学園側のメンバーが各々の反応を見せて名前を呼ぶ中、遥香は咲良の横へと歩み出た。

「預けていたてっぺんを、今返して貰った。……暴れたいなら、今からでも私が相手になってやる。」

「……ちっ。」

矢場久根側の先頭に立つ相手を真っ直ぐに見ながら遥香が言うと、まりやは舌打ちをしてから背中を向ける。

「今はその時じゃねぇ。お前も潰す対象だから安心しとけ、ソルト。」

まりやはその言葉を残すと、他の矢場久根の生徒を率いて馬路須加学園の校舎を後にした。
その連中の姿が見えなくなった後、ラッパッパ四天王は遥香へと駆け寄る。

「ソルトさん、ご無事で……」

「みんな心配してたで。何してたん?」

「やることがあってな、寝ている訳にはいかなかった。」

呆れながらもどこか嬉しげに由依が問いかけると、遥香は曖昧に返事をした。
その後、自らへと視線を向けていた咲良を視野の真ん中に捉える。

「私の傷が心配か?」

「……はい。」

「……そうか。」

問いに対して答えた咲良に向けて拳を繰り出すと、瞬時に防いだ咲良のガードを崩し彼女を後退させた。
それで相手の状態を察したのか、咲良の目付きが変わる。

「決着つけようぜ、咲良。」

「……ああ。 」

改めて告げられた遥香からの言葉に、咲良は力強く頷いて返事をした。

■筆者メッセージ
ここはあんまり流れを変えず、ですかね。
ちょいちょいと弄りはしましたが。
こらるめんて ( 2016/01/15(金) 23:32 )