§第13章§
03
咲良が病院を後にしたちょうどその頃、以前激尾古高校にも現れていた男は再び黒いスーツを着ている男を従え、今度は馬路須加学園の校長室を訪れていた。

「ここが、校長室になります。」

「はいはい、どうも。」

案内をした副校長に礼を告げたその男はドアを開こうとするが、それを中断して案内をしてきた人物へと再び視線を向けた。

「あー、そうだ。なぁ、あんた。」

「……何でしょうか。」

案内を終えて教務室へと帰ろうとした所、呼び止められた為に彼の方向を振り返る。

「あんた、昔ここの頭だったんだろ?いいのかよ、知らない奴に勝手に校長室から引きずり下ろされて、好き勝手されててよぉ。」

「……何の事でしょうか。」

相変わらずやる気の欠けた様子で相手へと訪ねるが、問いを投げ掛けられた人物は淡々と言葉を返した。

「私は、この学園に関われたらそれでいいいのです。それが、私のpolicyですから。」

言葉を付け足してから一礼すると、その人物は教務室へと向かいその場から姿を消す。
案内人が居なくなった直後にその男は深く溜め息を吐いた。

「全くよぉ、やりたい事があるならするべきだろうが。」

男はそう告げながら、ノックもせずに校長室のドアを開けて室内に足を踏み入れる。

「こ、これはこれは……今回はどんなご用で……」

「あー、もう。堅っ苦しい挨拶は良いっての。」

校長は入ってきた男に怯えた様子で声を掛けるが、その男は言葉を遮りながら言うと部屋のドアを締めた。

「だからあんたの本音、聞かせて貰おうか。」

「な、何の事だか……」

「ったくよぉ、潔く認めろよ面倒くせぇ……あんたのお仲間が吐いた、って言ったらどうするよ?」

額に汗をかいていた校長であっが、その男が面倒そうに続けた言葉に顔色が変わる。

「お?顔色が悪くなったな。ってすると、ここに銃とかでも置いてる訳か?」

「……動くな!」

辺りを見渡すように男が告げていたが、その次の瞬間校長は銃を手に取って相手へと向けた。

「おいおい……マジかよ。ハッタリのつもりだったんだけどなぁ……」

「黙れ!折角この学園を更正する機会を掴んだんだ!ヤクザとも何ともつかない奴に……邪魔されてたまるか!」

呆れたように手を挙げながら男は告げるが、校長は引き金に指をかけたまま声を荒らげる。

「この2人はそうだけどよ、俺まで一緒にすんなっての。」

銃を向けられているにも関わらず男は息を吐いてから告げると、挙げていた両腕を下ろした。

「銃っつーのはあんたみたいな弱い奴が使うためにあんだ。遠慮すんな、撃てよ。」

挑発するように男が告げると、それを受けた校長は思いきり引き金を引く。
破裂音が鳴った瞬間男は右に身体をずらし、態勢を低くすると一気に校長の元まで詰め寄り手にしていた銃を蹴り飛ばした。

「こんな真っ直ぐにしか飛ばねぇやつ……当たるわけねぇだろうが。」

先程と全く声のトーンを変える事無く男は話を続けるが、校長は銃を飛ばされた際に痛めた手を擦りながら怯えた目で相手を見上げる。

「弱い奴にしか強気に……ああ、そんなオモチャに頼ってる時点であんたより弱ぇ奴はいねぇのか。」

しかしながら男は校長へと何も行う事無く離れると、校長室を後にしようと背中を向ける。

「どうしますか、コイツ。」

「あ?そういうのはあんた達の得意分野だろうが。俺はそんな奴に手ぇ出す体力はねぇの。」

スーツを着た人物から尋ねられると男が欠伸をしながら答えると、問い掛けた人物はゆっくりと校長室に歩み寄った。

「ああ、忘れてた。この学園の新しい校長手配しとけよー。面倒なことはきらいなんだ。」

「新しい校長……どういう事だ!そんな事理事長が……」

「理事長?」

もう1人のスーツの相手に話している会話を聞いた校長が声を上げると、男は振り返ってポケットの中を探る。

「実はすでに退任してたりしてな。」

「なっ……そんな……」

「じゃ、後は任せたからな。」

ポケットから取り出された書類を目にして、校長は口をぱくぱくとさせた。
それを再びポケットへしまってから面倒そうに手を挙げると男は部屋を後にする。

「あーあ、後片付けってのはこんな手段でしか出来ないのかねぇ。恐ろしいなぁ、ヤー公は。」

部屋を出てから暫くした後に銃声がすると男は呆れたように呟いた後、もう1度欠伸をしてから足を進めていった。

■筆者メッセージ
と、いう事になりました。
こうなったという事は……
色々と変わってきますよね?
こらるめんて ( 2015/12/26(土) 16:10 )