§第13章§
02
ラッパッパのメンバーが病院を後にしようとした道中、一行は病衣を身に付けている隆治を目にする。

「橘。随分とおしゃれな格好してるやん。」

「おたべさん!?それに……あ……」

由依からニヤリと笑いながら声を掛けられ一同の存在に隆治は気付くが、小さく手を振るゆりあを見た後に視線を下げている杏奈を見て言葉を詰まらせた。

「ほら、ヨガ。言うことあるやろ。」

由依から促されると、杏奈はゆっくりと隆治の前へと歩み寄る。

「橘。……詳しい話はソルトさんから聞いた。……すまなかった。」

「いや……うん、大丈夫。ほら、ソルトさんの事大切にしてるのは知ってるから……」

視線を合わせないようにしながら告げられた杏奈からの謝罪を受けて、隆治はどこか困った様子で相手へと答えた。

「だから橘、私を殴れ。」

「へ?」

ようやく視線を合わせた杏奈が口にした言葉に、隆治はぽかんとする。

「このままでは私が納得しない。」

「ねぇ、これどっかで……」

「黙っとき。」

真剣な表情で告げる杏奈を見た李奈が口を挟むが、由依その発言を断ち切るように告げて黙らせた。

「えっと……ここで?」

「ああ、今だ。」

自らがグローブを着けていない事に加え辺りを見渡すようにしてから隆治は躊躇するように問い掛けるが、杏奈は相変わらず視線を外す事無く彼を捉えながら即答する。

「なんや橘、殴れへん理由でもあるん?」

「えっと、ほら……やっぱり、しっかりケジメ着けるなら完治した方が良いかなぁと……」

由依から尋ねられると、隆治は誤魔化す言葉を探すようにしながら曖昧な返事をした。

「……そうだな。橘、本当にすまなかった。」

「なかなか上手く、誤魔化すやん。」

改めて謝罪をした杏奈は出口に向けて歩いていくと、隆治に一言告げてくすりと笑う由依と李奈もその後に続く。

「怪我、早く直せよな。」

最後にゆりあが小さく笑って柔らかく告げると、3人の後を小走りで追いかけた。

「ラッパッパ、か。」

「すまなかったな。」

去っていくラッパッパを見て隆治は呟いていたが、いつの間にか遥香が隣に現れて声を掛けた為にびくりとする。

「そっ、ソルトさん!?」

「あまり大きな声を出すな、頭が痛くなる。」

「あっ……ごめんなさい。」

驚く隆治とは対称的に遥香は落ち着いた声でソファーへと座ると、少し相手と距離を空けて隆治もそこへ腰掛けた。

「なんか……柔らかくなりましたね、ラッパッパのみんな。」

「……そうか。」

「はい。宮脇さんの影響かな。」

隆治の話にはあまり関心の無い様子で相槌をうつと、彼は苦笑いをしながら言葉を続ける。

「それで。」

突然遥香から話題を切り出され、正面に目を向けていた隆治は彼女に目を向けた。

「いつ見せてくれるの……あなたの本気。」

「それは……」

ニヤリと笑いながら告げた相手に隆治は言葉を詰まらせると、遥香は返事を聞く前に立ち上がる。

「まあ良い。ゆーっくり、確かめさせて貰おう。」

「……やっぱりもう隠し切れない、のかな。」

去り際に遥香が残していった言葉に、隆治は小さく息を吐くと視線を下げながら困った様子で呟いた。

■筆者メッセージ
最近りゅーくんとソルトさんの絡みが増えている気が。
あ、次回はマジすか5のネタバレを含むので閲覧注意でお願いします。
こらるめんて ( 2015/12/26(土) 11:52 )