§第13章§
01
激尾古高校の帰り道、遥香の意識が戻ったと聞いた一同は急いで彼女が入院していた病院へと向かう。
目的の相手が居るであろう病室を前にして、ラッパッパのメンバーは咲良へと目を向けた。

「咲良、お前が最初に行くべきだ。」

「やったこと、言わなきゃいけねーだろ?」

杏奈と李奈は遥香との面会を咲良に最初にさせようと促すが、咲良は足を進める事無く2人を見る。

「私よりは、あなた達だ。あなた達のお陰で……肩を並べる奴の大切さを知る事が出来た。だからずっと肩を並べていたあなた達が1番心配だったのが分かる。」

「あー、誰もそんな話して無いじゃん。」

咲良の言葉に納得するように全員が静まり返っていたが、暫くしてゆりあが首を左右に振って否定する。

「マジックの言う通りや。……あんたは、代理ながらもてっぺんやった。ソルトに報告の義務があるんやから。」

由依が落ち着いた声で告げるとようやく咲良は納得したように小さく頷き、病室へと足を踏み入れた。

「失礼します。」

「……咲良か。」

「はい。」

自らの姿を見ないまま名前を呼ぶ遥香へと、咲良は短く返事をする。

「どうなった……激尾古とは。」

「決着をつけてきました。……勝ちました。」

「ふっ、当たり前だ。」

問いに対して咲良が答えると、遥香は小さく笑うようにしてからようやく顔を相手へと向けた。

「預かっていた馬路須加学園のてっぺん、返します。」

真っ直ぐな眼差しを遥香から受けていた咲良は、相手と視線を交わらせながら言葉を続ける。

「学校に帰って来た時……実力でそれを取りに行きます。」

「そうか。」

「今は、休んで下さい。」

楽しむように告げた遥香に頭を下げてから、咲良は病室の出口に向かって歩いていった。

「ソルトさん……いや、ソルト。」

病室から出る直前、くるりと再び咲良は遥香の方を見て名前を呼ぶ。

「私は、負けない。」

「期待している。」

相手の強気な発言に遥香はいつも通りの声のトーンで返答をすると、咲良は病室から出ていく。
部屋の前で待っていたラッパッパのメンバーに頭を下げると、チーム火鍋と1年コンビを連れて病院を後にした。

「ソルトさん!」

「どうや、調子は。」

咲良が立ち去ってからラッパッパの一同が病室に入ると、杏奈と由依が声を掛ける。

「早く咲良とやりたい気分だ。」

「そんな事言えんのやったら、もう大丈夫やね。」

淡々と返事をする遥香を見て、由依はにこりと笑ってから相手に返答する。

「ソルトさん、何でソルトさんが激尾古の奴を庇ったんです?話によれば、橘の奴が庇おうとしたみたいじゃないっすか。」

「……そうですよ!ソルトさんがそんな事する必要無かったんです!」

遥香へと尋ねる李奈をゆりあは睨み付けるが、それで思い出したように杏奈も言葉を重ねた。

「橘を責めるな。……私が馬路須加のてっぺんだ。あいつもその生徒……守る義務が私にはある。」

「でも……」

「馬路須加のてっぺん……教えてくれたのはお前達と咲良だろう。」

遥香の説明を受けてもどこか腑に落ちないのか杏奈は口を開こうとするが、続けられた言葉に俯く。

「おたべ。……その様子じゃヨガは橘をボコりかねない。見といてやってくれ。」

「……すまんなぁ、ソルト。」

杏奈から視線を移して遥香は名前を呼びながら声を掛けると、由依は一瞬驚いた表情を浮かべるがやがて苦笑いを浮かべた。

「もう遅いわ。」

■筆者メッセージ
咲良サイドとラッパっパサイドの溝を埋めていく描写も無かったから自由に書けるなぁ、と。
自由に書かせて頂きます。
こらるめんて ( 2015/12/26(土) 00:50 )