§第12章§
02
救急車の音を便りに倉庫に到着した一行は、担架によって運ばれている人物を目にすると側に駆け寄る。

「これは……」

最初にその人物の元に駆け寄った咲良は 頭部に包帯を巻かれ、人工呼吸器をつけている遥香を見て絶句した。

「ソルトさん!」

「何でこんな事なってるんや……」

その後遥香を見た杏奈と由依が思わず言葉を溢した後、彼女は救急車によって搬送された。

「何か情報無いか、探すで。……咲良、今は……」

「分かってます。」

暫く無言で一同は立ち尽くしていたが由依が話を切り出し咲良へと声を掛けると、彼女も力強く頷いてから返事をする。

「おい、お前。」

暫く辺りの様子を探っていたラッパッパと咲良サイドのメンバーであったが、倉庫の傍らで立っている隆治を杏奈が見つけた。

「聞いてるのか、おい。」

「あ……ラッパッパの……」

2度目の声掛けによって理由はようやく返答をするが、彼が最後まで告げる前に杏奈は相手の胸ぐらを掴む。

「お前、何か知ってるんだろ。……何があったんだ。何でソルトさんはあんな事になった。」

「それは……」

睨み付けながら離すことを強要すると、隆治は見たことを全て相手へと伝えた。
それに黙って耳を傾けていた杏奈であっが、やがて彼の胸ぐらを離す。

「ソルトさんが……そんな事を……」

呆然としながら呟いた後、杏奈は再び隆治へと鋭い視線を向けた。

「何で庇わなかった。」

「え……」

怒りが収まらない彼女は隆治の胸ぐらを再び掴み壁へと押し付けるが、衝撃を受けている隆治は言葉を詰まらせる。

「お前がソルトさんの代わりに助けに入っていれば、ソルトさんはあんな風にはならなかった!」

「ぐふっ……ごほ……ごほ……」

その反応が気に入らなかったのか杏奈は隆治の腹部に拳を入れた後に思いきり頬を殴ると、隆治はその勢いを受けて地面へと倒れた。

「そう……だね……返す言葉も無いよ……」

「詫びろ……ソルトさんに詫びろ!」

咳き込む中で隆治は何とか答えるが、杏奈は怒鳴り声を上げながら何度も彼の腹部を蹴りつける。

「分かって……るよ……だか、ら……気が……済むまで……」

「煩い、喋るなっ……喋るなっ!」

途切れ途切れになる相手の言葉を受け入れないように杏奈は繰り返し告げながら、彼の腹部を力を込めて蹴り続ける。

「……おたべ、バカモノ!」

杏奈の声にようやく気付いたのか、ゆりあが由依と李奈を呼ぶと3人は急いで杏奈の元に駆け寄った。

「何やってんだよ!」

「取り敢えず、落ち着き!」

「離せ!バカモノ、おたべ!こいつがソルトさんを!」

2人ががりで何とか杏奈を隆治から引き離すが、彼女は自らの行動を止める由依と李奈に必死に訴える。

「バカモノ、離さんといてや。」

「任せとけ!」

「離せ、こいつには!」

杏奈が暴れる中で由依から頼まれると、李奈は返事をして彼女を離すまいと自慢の力でがっちりと拘束をした。

「橘くん!」

「あーあー……これじゃ誰が被害者か分からへんやんか。」

悲痛な声を上げるゆりあと呆れたように告げた由依は、彼の状態を知るべく相手の側へと移動する。

「マジックさん……おたべさん……良かった、おたべさんは怪我が……」

「アンタは黙っとき。人の怪我心配してる状態ちゃうやろ。マジック、救急車。」

「分かってる。」

隆治の告げようとする言葉を制止してゆりあに指示を出すと、彼女は返事をして立ち上がり連絡を行った。

「ソルトが心配や、病院行くで。ヨガ、そいつよりもソルトが先やろ。」

由依が李奈とゆりあに声を掛けてから真剣な表情で杏奈に告げると、杏奈は納得しない表情を浮かべながらも大人しくなる。

「橘隆治……お前はラッパッパを敵に回した。平穏な生活が送れると思うなよ。」

横たわっている隆治を見下ろしながら告げると、杏奈は先に歩いていく3人の背中を追った。

■筆者メッセージ
りゅーくん、ぼこぼこの巻。
本当にゲキカラちゃんが馬路須加学園にまだ関与してなくて良かったです(笑)
こらるめんて ( 2015/12/16(水) 23:46 )