§第10章§
03
「見捨てられた、って話題になってるみたいやな。」

「んー?いいやん別に。私らは私らで気の向くままにやっていけば。きゃははははっ!」

倉庫内にあった木箱に腰掛けてお互いに背中を預けるようにしながら、美瑠と楓子は言葉を交わす。
楓子が笑った直後倉庫のドアが開く音が2人の耳に届くと、彼女らはどこか嬉しそうに口角を上げた。

「こんどは、何分もつ人が来たのかな?きゃははははっ!」

「あっちから来てイライラをぶつけれるんや。最高な場所やな。」

楓子と美瑠は木箱から立ち上がると、倉庫に入ってきた人物が自分達の前に現れるのを待つ。
暫くすると、視線の先からコツコツと靴がコンクリートの床を鳴らす音が届いた。

「丁寧に歓げ……」

「やっと見つけたわぁ!」

美瑠は相手に向かって声を掛けようとするが、その言葉は現れた人物の声によってかき消された。

「何やねん、お前。」

「ボコられに来たんやろ?きゃははははっ!」

肩で息をしている相手に向かって2人は声を掛けていたが、息を整えた菜々はようやく顔を上げる。

「ウチは、話に来ただけやから。」

「話に来ただけ?」

「つまらんなぁ。悲鳴、聞かせてくれても良いんやで?きゃははっ。」

菜々の発言に舌打ちをしてから美瑠は木箱に再び腰を下ろすと、楓子も残念そうに告げてから隣の相手に倣った。

「アンタらが負けたんは……マジスカの連中で間違い無いんやな?」

「知ってどうすんだよ。」

「ウチは本当の事を知りたいだけや。」

問い掛ける菜々に面倒そうに尋ね返すが、真っ直ぐな目で見られた為に美瑠は観念したように溜め息を吐く。

「そうや。私らがこびーにけしかけられてやったんだが……」

「ちょーっと、油断しちゃった。」

「美優紀にけしかけ……嘘や。」

美瑠と楓子が告げた言葉を耳にしてから自らに言い聞かせるように菜々は繰り返すと、それをすぐに否定した。

「他の奴はアンタらが勝手に……」

「良いんだよ、負けは負けや。」

「それで文句言いに来た奴とは遊んであげてるしな?」

菜々は校舎内で耳にした事を知らせようとするが、美瑠と楓子は知っているどころか気にしていない様子でさらりと返事をする。

「説明してくる。」

「ふふ、ちょっと待ちーや。」

真剣な表情を浮かべる菜々が踵を返した瞬間に、楓子が彼女を呼び止める。

「何で、私らにわざわざ構ってくんねん。」

「別に良いやろ、ウチがそうしたいだけやから。」

「アカンなぁ。」

問われた菜々は落ち着いた声で答えるが、美瑠はそれを拒否しながら木箱から立ち上がった。

「勝手な事されたら、困んねん。」

「そんな事より、私らと遊んでこーや。きゃははははっ!」

菜々の行く手を遮るように、美瑠と楓子は相手を挟むように立ちながら語りかける。

「ウチらがやる理由、無いやろ?」

「理由なんかいらへん。」

「ただ悲鳴が聞きたい……さっきから言ってるやん!きゃはははははははっ!」

理不尽な行為に菜々は2人を睨みながらも尋ねるが、美瑠と楓子はどこか嬉しそうな様子で言葉を返した。

■筆者メッセージ
クロバラちゃんとゲキカラちゃん。
顔合わせまでに区別はつけれるようにします。
こらるめんて ( 2015/11/30(月) 22:07 )