§第9章§
03
「橘先輩……」

「うん、これはちょっとマズいね……」

光が囲まれていた同時刻、隆治は手際良く解放した真子と共に同じように包囲されていた。

「お前なら簡単だろう?この人数を相手にするのは。」

「はっ、馬鹿なの?馬路須加の男は戦えないの、弱いから。」

男の中のリーダーらしき人物は隆治へと問い掛けるが、代わりに真子が相手へと言い返す。

「小嶋真子、お前に聞いては……」

「だから気に入った男は女が守るんだよ。……先輩は私が守る。」

一蹴しようとする男の言葉を遮り、真子は引く事なく相手を睨むようにしながら言葉を続けた。

「真子ちゃ……」

「橘先輩……先輩が事情があって戦えないのは分かってますから。……大丈夫ですから。」

隆治は真子の様子を見て声を掛けようとするが、彼女は彼にしか聞こえない声量で告げる。

「1度負けたのに2回目が……」

3人の男が同じタイミングで真子へと駆け寄ろうとするが、彼女は同時にその全員の脚へと切り傷を作って動きを封じた。

「舐めるな、今は橘先輩が居るんだよ。……マジの度合いが違うんだ。」

「ほうほう、これはかかっているかもしれないな。」

自信満々に告げる真子へと別の男が飛びかかろうとするが、リーダーの手によって制されると動きを止める。

「小嶋真子、お前は橘隆治がグローブを着ける理由を知ってるか?……そして橘隆治に殴られた事は無いか?」

リーダーの男は、未だ警戒をして手刀を構えたままの真子へと静かに問い掛ける。

「理由なんて興味ない。橘先輩が私を殴った事なんて無いし、お前達に関係無い!」

「珍しい事もあるものだ。……今の所は灰色だな。」

「あっ……」

怒鳴るように答えた真子とは対称的に男は静かに言葉を続けていくと、一気に彼女との間合いを詰めた。
突然の出来事に真子は呆然とするが、拳が振り上げられた瞬間に隆治が間に入る。

「……ごほっ……」

「身を挺して守るか……小嶋真子が気に入ったのか?橘隆治。」

膝をついた隆治を見下すようにしながら、男は変わらない声のトーンで彼に尋ねた。

「可愛い後輩だからね……出来る事はしなきゃ。」

「松井玲奈はもう良いのか?」

呼吸を乱しながらも答えた隆治へと、男は迷う事なく次の質問を投げ掛ける。

「ゲキカラ……?……なんで今彼女が出てくるのさ。」

「ほう、また白に近づいたな。」

平静を装いながら隆治が返答すると、彼はしゃがみこんでいる隆治を蹴りながら告げた。

「先輩っ!」

「お前も黙るんだよ。」

真子は叫ぶように名前を呼んでから助けに入ろうとするが、横から現れた男に蹴り飛ばさる。

「げほっ……はぁ……はぁ……」

「結局白に近い灰色だ。暫く観察を続け……」

「あはっ……アハハハハハハハハハッ!」

咳き込む真子を見ながら男は言おうとするが、その声は倉庫に響き渡った声によってかき消された。

「ほう、どうやら確定要素が来たようだ。」

リーダーが告げて男達が全員そちらを向く中、隆治と真子は痛む部位を抑えながらも何とかそちらを見る。
姿を現した松井玲奈、宮澤佐江、峯岸みなみ、河西智美、倉持明日香の5人は男達の前まで進んでから足を止めた。

「怒ってる?計画邪魔されて……怒ってる?」

「敦子もおたべも居ない……だけどお前らが馬路須加学園に売った喧嘩、買わせて貰う。」

いつもの如く玲奈は爪を噛み、狂気的な笑みを浮かべながら男達を見渡す。
それに続けて佐江が言うと、他のメンバーも戦闘に備えて構えを取った。

■筆者メッセージ
当然、助っ人は彼女達ですよね。
こらるめんて ( 2015/11/22(日) 23:38 )