第1章 横山由依篇
北原里英 V


「さぁ!ちんこペロペロして!」

アイドルとは思えない台詞で迫る横山由依に対して、

「な、なんでおちんちんがあるの?」

と、もっともな疑問を投げかける里英。
なにせ女だと思っていた人に男性器が付いていたのだから。

「なんでって、急に生えたんや」
「そんなキノコみたいに言われても納得できないよ」
「しゃーないやん。キノコみたいにちんこが生えたんやから」
「……よ、横山って女の子だよね?」
「そうや。男だと思ってたん?女の子に決まってるやん」
「ええと……おちんちんを大っきくさせながら言われても説得力がないというか」

相変わらず萎えることなく、ギンギンのちんこ。

「……里英ちゃん、そうやって話を逸らしてゴマかすのはアカンと思うわ」
「いや、話を逸らしてるわけじゃ……」
「つべこべ言わんと、はよちんこ舐めて!」
「だから、なんでわたしが舐めなきゃいけないの!!」

由依の言動に混乱する里英。
由依は、そんな彼女をさとす様に、

「里英ちゃん、あんな、うちにちんこがなんであるかは、いま問題やないんや。ちんこがある。いまギンギンでビンビンや。で、里英ちゃんが舐める。それだけや」
「すごく整理した口調でまったく意味がわからないこと言わないでよ!横山にソレが付いてるのは、百歩譲ってわかっても、わたしが舐める理由がないじゃんか」
「だから、さっき弱って困り果てて泣き喚く里英ちゃんを、うちが大きな愛情を持って優しく慰めたやんか。それで、お返しにちんこ舐めるんは人として当然やろ?」

堂々と言い切る由依。
もちろん人として当然の行為に“ちんこを舐める”なんて行為があるわけがない。
このあまりにも身勝手な由依の論理は、むしろ里英を追い詰めた。
“恐怖”である。
言葉が通じない相手に対して、予想外の危害を与えられるのではないかという恐怖。
里英は自分に対して、まるで銃口のように向けられているちんこを目にして、身震いした。
下手に抵抗した場合の最悪の事態を考える。
いまならば、相手が要求しているのはフェラチオだけだ。
それで手を打つのが得策ではないのか、と里英は考えた。

「……わ、わかった。な、舐めるから」
「は、はよう、舐めて」

はあはあと鼻息を荒くする由依。

やっぱりネットに書いてあった通りや。
チャンスタイムの女には優しくしたらええんや。
ああ。舐められたら、どんな感触なんやろ?
舌ってザラザラしてるんかな。

ドキドキしながら、里英の舌がちんこに触れるのを待つ。

里英は覚悟を決めて舌を伸ばす。
舌先がちんこのさきっちょに触れ……

その瞬間、里英は行為を止めてつぶやく。

「……イカ臭い」




いぷしろん ( 2016/01/24(日) 04:58 )