5章
4話
彩「立候補したんは奈々ちゃんと男子二人・・・」

玲奈「あんな子達が立候補したのは会長のせいだよね」

彩「ホンマに・・・・・・悪影響ありすぎや」

 立候補の受け付けは締め切られ、奈々以外に男子二人が立候補する。玲奈と彩が、和哉のせいだと言っているのは、二人の立候補の理由が、『何もしなくても良さそうだから』、『何もしなくても女子にモテそうだから』等々、あまりにも不純なものだったから。玲奈と彩はやる気が無い和哉の方がまだマシだと思っていた。
 二週間の選挙戦が始まり、三日目に新聞部が支持率を調査すると、奈々は70%の支持を獲得し、圧倒的優勢に立つ。

玲奈「会長はこうなること分かってたのかな?」

彩「他の候補があんなんやったら心配いらんかも」

 動機が不純な二人の支持率は合わせても10%、この時点では奈々の敗けは考えられない。開始から一週間、二度目の支持率調査では

彩「何でやねん?何でこないなことに?」

玲奈「奈々ちゃんの支持率落ちちゃったね」

 支持率が落ちたとはいっても60%、まだまだ優位だが、追い上げの勢いはかなり脅威になりつつある。更に

「僕は立候補を止めます」

 男子生徒の一人が立候補を辞退。共同戦線を張り、奈々に対抗しようとする。

 選挙戦開始から十日目、最終三回目の支持率調査では、ついに五分五分になっていた。

玲奈「会長、本当に奈々ちゃんは大丈夫ですか?」

和哉「余計な・・・」

彩「心配する暇があったら、勉強でもしてろ、って言うんやないよな?」

 言おうとしたことを彩に先に言われ、和哉はムッとしながら、机に臥せる。

玲奈「会長、会長!」

 眠りに就こうとする和哉の邪魔をするように、玲奈は呼び掛け、眠らせない。

彩「何かエエ作戦とかない?去年の選挙に勝ったやん」

 和哉にとっては思い出したくない悪夢。負けるために頑張った選挙戦で、他の候補者が勝手に自滅し、何もしないで勝利していた。嫌なことを思い出させた彩を睨み付け

和哉「俺は参考にならねーよ。選挙は何もしてねーし、担任が俺に投票したら物理の成績アップするって、勝手に言ってたからな。まぁ、奈々の敗けは絶対に無い」

彩「いやいや、奈々ちゃん追い上げられてピンチやん」

 根拠を示すことなく、奈々は敗けないと言われても、玲奈と彩は安心できなかった。

COM ( 2015/11/26(木) 23:31 )