4章
25話
彩「返してほしかったらうちらともっかいお化け屋敷に行ってもらおか」

玲奈「さ〜行きましょう」

 再び、玲奈と彩に挟まれ、寝惚け気味の和哉は強制連行される。

真子「お化け屋敷お好きですね〜」

和哉「真子ちゃん、また・・・」

真子「ごめんなさい、イリュージョンはできなくなりました」

 玲奈と彩が『分かってるよね?』と言わんばかりの笑顔で真子を脅す。それに真子もネタバレしているイリュージョンに協力する気は無かった。

玲奈「会長、入りましょう」

 玲奈に背中を押され、和哉は強制的にお化け屋敷に入らされる。

彩「ウチは出口で待つかな」

真子「あれ?ここで待たないんですか?」

 先程は和哉に入口から逃亡された彩だったが、出口で待つと言ったことに、真子は少し驚いている。

彩「出口から逃げられても困るし。それに入口はアンタが塞いでくれる。そうやろ?」

 彩が出口に向かって一分後

和哉「真子ちゃん、開けてくれ」

 和哉は玲奈に気付かれないようにスマホを奪い返し、入口から出ようとする。

真子「ごめんなさい。入口から出るのはできなくなりました」

和哉「・・・・・・・・・」

 協力してくれていた真子に裏切られた和哉は、強引に扉を開けようとするが、真子は扉につっかい棒をし、びくともしない。

玲奈「会長、もしかして逃げようとしたの?それとも、私ともっと一緒にいたいってこと?」

 和哉がいなくなったことに気付いた玲奈は入口に戻り、和哉を捕まえ、抱き付く。

玲奈「さぁもう一回行きましょう」

 玲奈に抱き付かれ、逃げ道を無くした和哉は、諦めて早足でお化け屋敷を進んでいく。

彩「やっと出てきた」

 出口で待ちくたびれていた彩は、笑顔で和哉に近付くが、その笑顔はすぐに消え

彩「ちょっと離れや!」

 和哉と玲奈の間に割って入り

彩「今度はウチとお化け屋敷に入ろか」

 和哉の手を掴み、入口へと誘う。

和哉「嫌だ」

 和哉は彩の誘いを断り、彩の引き止めを振りきろうとする。

彩「スマホ返してほしくないん?」

和哉「これのこと?」

彩「何で・・・松井さん、もしかして」

玲奈「違う、私は・・・」

 彩はすぐに玲奈を睨むが

和哉「暗いから中々難しかったよ、これで釣るのは」

 和哉は暗闇の中で玲奈の胸ポケットから針金を使い、スマホを抜き取っていた。スマホが和哉の手にあるということは、玲奈と彩は、和哉を言いなりにできなくなる。

彩「何でもするから・・・何でもするから、ウチとお化け屋敷に入って」

 プライドも何もかなぐり捨て、彩は懇願。

和哉「何でもする・・・・・・」

 彩が『何でもする』と言うと、和哉の目の色が変わった。

COM ( 2015/11/24(火) 18:41 )