18話
由紀「あれ?岡田君は?」
和哉と未姫が調理室から出て数分後、調理室に由紀が現れる。
玲奈「さー、どこだろね?」
一度火花を散らしているせいか、笑顔を見せる玲奈と由紀の間の空気はかなり険悪だった。
奈々「お腹が減ったから、どこかの模擬店に行くって言ってましたよ」
由紀「ありがとー」
奈々が嘘を吐いたとは思いもせず、由紀は走って調理室から出ていく。
彩「今はお客もいてないし・・・なぁ、松井さん。何で会長にキスマーク付いとったか説明してくれんかな?」
玲奈「さー、何でかな?私も知らないよ」
玲奈対由紀の冷戦を回避することに成功した奈々だったが、玲奈対彩の争いを回避する手段を思い付かない。
潤「おーい、また行列できてきてるから、接客してもらえる?」
彩「チッ、後で教えてもらうからな!」
一度少なくなった客も、再び多くなり、潤は玲奈と彩に接客を頼む。二人は無理矢理笑顔を作り、一先ず争いは回避された。
未姫「お兄さん、一緒に入ってくれますよね?」
和哉「・・・・・・・・・まぁいいか」
未姫「ありがとうございま〜す」
未姫に連れられ、お化け屋敷に入った和哉。
未姫「キャー」
和哉「あー、びっくりした」
「西野さん、ここで驚くなよ」
受付でお化けに扮したクラスメイトに驚いた未姫。和哉も未姫の叫び声に驚いていた。
未姫「えーっと・・・・・・行きましょう」
和哉と手を繋ぎ、暗幕で仕切られたお化け屋敷に入っていく。
未姫「キャー・・・・・・ギャーッ・・・・・・・・・も〜やだ〜〜〜」
泣き叫ぶ未姫を驚かせるのが面白いのか、クラスメイトはテンションを上げて、次々と驚かす。
真子「お疲れ様でした〜」
未姫「キャーーーーーッ」
和哉「未姫ちゃん、驚きすぎ」
お化け屋敷内で叫び続けた未姫だったが、出口の係員をしていた真子がリアルなゾンビのマスクを被り、脅かしたせいで、更に大声で叫び、和哉に抱き付く。
真子「ホントに未姫はヘタレだね」
未姫「真子、うるさい!みんなが脅かすの上手かったの!」
真子「でも、お兄さんは平気そうだよ」
和哉「俺は未姫ちゃんの叫び声で驚いてたよ」
和哉と真子にからかわれ、未姫は拗ねてしまう。
真子「お兄さん、今度は私と一緒に入りましょう」
和哉「ネタバレしてても入らないといけない?」
真子「良いじゃないですか」
マスクを外した真子は無邪気な笑みを見せ、和哉はそれに大人しく従う。
真子「今度はこれを着けててくださいね」
真子は和哉にマスクを渡し、装着させると、和哉と一緒にお化け屋敷に入っていく。和哉と真子は平気な顔をして、笑いながら、未姫が待つ出口に行く。
未姫「お疲れ様でした〜」
真子「わ〜怖いよ〜」
未姫「ムカつく!棒読みじゃん」
仕返しにゾンビのマスクを被った未姫だったが、真子の反応は無反応と言って良く、リアクションの無さに未姫は頬を膨らませる。
未姫「あれ?お兄さんは?」
和哉「呼んだ?」
未姫「どこにいたん・・・・・・・・・ギャーッ」
「バン・・・バタン」
真子が被っていた物よりも怖いゾンビのマスクを被った和哉に驚いた未姫は、パニックになり走って逃げようとするが、マスクの視界の悪さも手伝ってか、教室の扉に勢い良くぶつかり、倒れてしまう。