17話
和哉「入山、冗談だから、本気にするなよ」
杏奈「先輩、本当ですか?」
和哉「本当だから落ち着け」
和哉が杏奈の頭を撫でながら、落ち着くよう諭すと、険しかった杏奈の表情も穏やかな笑顔になる。
杏奈「でも・・・あの放送は?」
和哉「あれは、俺が黙っていなくなって、どこにいるか分からないから、ゲームみたいに、みんなに探して貰おうってことだよ、折角の文化祭だからな」
杏奈「そうなんですか。奈々先輩、疑って、ごめんなさい」
和哉「ほら、こんなことで時間使ってないで、文化祭を楽しんでこいよ」
杏奈「はい。おばさん以外の皆さん、お騒がせしてごめんなさい」
和哉に諭され、杏奈は笑顔で調理室から出ていく。
彩「あのガキ、今度会うたら泣かす!」
彩だけは杏奈の最後の台詞で怒っていた。
未姫「お兄さん、お疲れじゃないですか?」
杏奈と入れ替わるように、今度は未姫が和哉達の元に現れる。
奈々「未姫、お化け屋敷は?」
未姫「えーっと・・・・・・クビになっちゃった」
奈々「未姫、脅かす側なのにビビったんでしょ?」
未姫「別にいいでしょ!」
図星だったせいか、奈々に僅かに怒りをぶつけるが、すぐに笑顔になり、和哉に近付く。
未姫「お兄〜さん、私達のクラスのお化け屋敷に来ませんか?」
彩「何言うてん?忙しいのに会長抜けたら、困るやん」
未姫「でも、生徒会長がクラスや部活の展示とかお店に行かないって、おかしくないですか?」
玲奈「会長って、ずっとここにいるから、他の所見てないよね?少しくらいは良いと思うよ」
未姫の提案に、玲奈が賛成。未姫が訴えるような上目遣いで彩・潤を見つめる。
彩「しゃーないな、しばらくウチらだけでガンバろか」
未姫「ありがとうございま〜す」
未姫は和哉と腕を組み、調理室から出ていく。その様を見て、玲奈は頬を膨らせ、彩は一瞬顔をひきつらせる。