4章
16話
 玲奈が和哉を捕まえたことを彩に連絡すると、彩は早速、イベントの終了を告げる放送をする。放送が終わると、彩は急いで調理室に戻る。

彩「アンタ、ようもあないな舐めたことしてくれたな・・・・・・って、なんやねん、そのキスマーク」

和哉「キスマーク?」

潤「そんなことより、客が増えてきてるから、接客しないと」

 潤の言葉で、玲奈・彩・奈々は動き出すが、和哉の動きは鈍い。

彩「ほら、何してん?も〜、キスマーク消したるから、はよ接客してや」

 彩は優しい口調で両の頬に付けられたキスマークを消し、和哉を接客に行かせる。三十分も頑張ると、客も一気に減っていく。サプライズイベントの際に潤と奈々が話し合い、ケーキの販売のみも可能にしたおかげで、行列は早く無くなった。

彩「松井さん、何で会長の顔にキスマーク付いてたんかな?」

玲奈「さー、何でかな?」

 玲奈は軽く惚けるが、彩は疑うような眼差しで玲奈を見る。

奈々「杏奈ちゃん、いらっしゃい」

杏奈「奈々先輩、邪魔です、退いてください」

 杏奈は奈々を押し退け、調理場に入っていき

杏奈「先輩、こんな所にいたら虐められるから、私と一緒に行きましょう!」

 杏奈は和哉の腕を掴み、連れていこうとする。

彩「アンタ、何してん?会長をどこに連れていこ思うてん?」

杏奈「おばさん達がいない所です。こんな所にいたら、先輩、虐められるから」

奈々「杏奈ちゃん、誰もお兄ちゃんを虐めてないから」

 和哉を連れていこうとする杏奈を奈々が説得しようとするが

杏奈「私はそんな嘘に騙されません!先輩、行きましょう」

 杏奈は奈々の言葉を信じず、和哉の腕を引っ張って行こうとする。

彩「ウチらは虐めなんかせーへん!」

杏奈「あんな放送をしたおばさんの言うことは絶対に信じません!」

 杏奈は彩の言葉は余計に信じようとせず、聞く耳を持たない。

彩「アンタも何とか言いや!」

和哉「おばさんに虐められるから助けてくれ〜、とかか?」

杏奈「やっぱり・・・・・・このおばさんが悪いんだ!」

 杏奈は和哉の冗談を真に受け、彩を睨み付ける。

COM ( 2015/11/22(日) 00:05 )