9話
玲奈「奈々ちゃんは、あの子に信頼されてるんだね」
玲奈達は模擬店で、いくつか食べ物を買い、生徒会室に戻って、遅めの昼食を食べていた。
奈々「それは私がお兄ちゃんの妹だからですよ。杏奈ちゃんは、誰よりもお兄ちゃんのことを尊敬してるんです」
彩「あんなんを尊敬してるて、あの子アホちゃうか?」
杏奈におばさんと言われている彩は、少し厳しいことを言う。
玲奈「そんなこと言って、会長のこと好きなくせに」
彩「うるさいな!それより、はよ食べて巡回行こっ」
食べ終わり、三人が立ち上がった瞬間
未姫「あ、奈々いた。お兄さん大変なことになってるよ」
未姫が生徒会室に入ってくる。
奈々「お兄ちゃんに何があったの?」
未姫「行けば分かるよ」
慌てる未姫を見て、嫌な予感がした奈々は、急いで調理室に走っていく。玲奈と彩も、互いに顔を見合わせ、走り出す。
彩「何やねん、これ?」
玲奈「すごーい」
奈々「良かった、お兄ちゃん怪我とかしてないんだ」
調理室の前には長蛇の列。ただ、並んでいる生徒から玲奈達は白い目で見られるか、わざと聞こえるように噂話をされていた。
「会長が虐められてるって噂は本当だったんだ」
「えー、会長可哀想」
「じゃあ会長の妹も一緒に虐めてるのかな?」
「だってそうなんじゃない?誰も手伝ってないんだしさ」
目の前で、こんなことを言われ、玲奈と奈々は泣きそうなほど暗い表情をしていた。
彩「こんな来る思うてないから、今日は会長にお願いしてただけや!何も知らんと、変なこと言うなや!」
彩が一喝すると、列に並んでいる生徒は噂話を止める。彩の声が中に聞こえたのか
和哉「申し訳ありませんが、お客様のご迷惑になりますので、お静かに願います」
和哉が現れ、彩を丁寧な口調でたしなめる。そして、玲奈達三人の姿を確認すると
和哉「それと・・・申し訳ありませんが、ケーキはあと四名様にしかお出しできません。他の物でもよろしければ、お待ちいただけると幸いです」
並んでいる客の目当てのケーキは残り僅かとなっても、行列が短くなることは無かった。さすがに、この行列ではマズイと感じ、手伝おうとした玲奈達だったが、何をすれば良いか分からず、和哉に聞こうとしても、危うくぶつかりそうになり、邪魔になりそうと判断し、手伝うことを諦め、生徒会室に戻る。
和哉が行列の客を全て捌ききると、文化祭初日が終わる。