4章
5話
彩「次、こないなボケかましたらシバくで!」

潤「和哉、H2O頼むよ」

和哉「かしこまりました」

 三度、和哉は調理場に戻る。

彩「今度は『H2O』って書いてくるんとちゃうか?」

潤「さすがに三回も同じボケはやらないだろ」

奈々「ねー未姫、一口頂戴」

 たった一杯の水がくるまで相当無駄な時間を過ごし、奈々も未姫達が羨ましいのか、一口食べたいと、ねだる。

未姫「これはお兄さんの手作りだからダメ〜!あげない」

奈々「真子はくれるよね?」

真子「奈々、ごめん。お兄さん、ケーキセット、もう一つください」

未姫「私も〜」

和哉「お待たせいたしました、ケーキセットです」

 彩達が求める水よりも、ケーキセットが未姫達の前に並ぶ。

彩「H2Oて書いてきてたらシバく!」

和哉「大丈夫でございます。お待たせいたしました、H2Oです」

奈々「こんなに小さいCD初めて見たかも」

和哉「H2OのCDです」

 同じボケがくると思っていたせいか、四人は一瞬、思考が停止する。

彩「よう、こんなん用意しとったな?」

和哉「お褒めいただきありがとうございます」

彩「褒めてない!呆れとるだけや。なあ、エエ加減飲める水持ってこんかい!」

 彩が怒鳴り、四度調理場に戻り、水を運んでくる。

和哉「お水お持ちしました」

彩「なあ、絶対わざとやっとるやろ?」

 和哉はヤカンに水を入れ、持ってきただけ。

玲奈「コップ持ってきてもらえますか?」

和哉「えっ?コップがいるんですか?」

彩「当たり前や、はよ持ってこい!」

 和哉は調理場に戻り、すぐに彩達の前に戻ってくる。

和哉「お待たせいたしました。コップの数が足りなかったので、申し訳ありませんが」

彩「こんなんで水飲めるか!」

 和哉が持ってきたのは、金魚鉢。

彩「しかも、ウチのは汚れてるし、金魚入ってるやん」

和哉「いらっしゃいませ、こちらのお席にどうぞ」

 彩を無視して、新たに入ってきた客を席に案内し、普通に水を運んでくる。

和哉「お待たせいたしました、ケーキセットでございます」

 客にケーキセットを運ぶと、再び何事も無かったように立つ。

彩「オーイ、こっちにこんかい!」

玲奈「すいません、ちょっと来てもらえますか?」

奈々「お兄ちゃん、来て!」

 彩達が呼んでいるが、和哉は聞こえない振りをする。

由紀「あの、あっちで呼んでますよ。それとクッキーとミルクティーをお願いします」

和哉「かしこまりました」

 由紀にクッキーとミルクティーを運ぶと、彩達の所に行く。

和哉「如何なされましたか?」

彩「アンタ、さっきコップの数が足りん言うてなかったか?」

和哉「同じ物が無くて」

彩「同じもんや無くてエエから、はよ持ってきてや」

和哉「かしこまりました」

 調理場に戻り、今度は花瓶を持ってくる。

和哉「如何でしょうか?」

彩「もうエエわ!シ・・・」

 彩は我慢の限界を越えたのか、立ち上がり、ハリセンを持って和哉に近付く。

和哉「さて、巡回の時間になったので、生徒会役員によるアドリブコントを終わりにさせていただきます」

彩「はぁ?」

 呆気にとられる彩達に拍手が送られ、強制的に追い出される。

COM ( 2015/10/19(月) 19:28 )