3章
7話
玲奈「山本さん、ホントに会長に惚れてない?」

彩「ホンマにしつこい!」

 彩は否定するが、その顔は茹でられたように赤く、彩の言葉を否定するかのようだった。

奈々「杏奈ちゃんが言ってましたよ。お兄ちゃんと山本さんは付き合ってるのかなって」

彩「ウチと会長が付き合ってるみたい?」

 杏奈が奈々に言ったのは『先輩とあのおばさん、付き合ってるんですか?』だったが、彩のことを『おばさん』と言ったことは隠していた。
 和哉と付き合ってるみたいと言われた彩は、満更でもなさそうな表情だったが、玲奈の視線が怖く、にやけそうになるのを我慢する。

玲奈「山本さん、どういうことかな〜?」

彩「さぁ?それよりも気になってることがあるんやけど。奈々ちゃん、神谷君とはどうなん?デートくらいはしてんの?」

奈々「潤さん、とですか?」

彩「神谷君のこと、好きなんやろ?」

 今度は攻守交替。玲奈の気を逸らすため、奈々の恋愛を話題にする。

彩「生徒会で困ったことあったら、すぐ神谷君に頼ってるもんな」

奈々「それは・・・潤さんがお兄ちゃんのこと詳しいから、相談しているんです。生徒会で困ったことって言ったらお兄ちゃんのことだし」

 奈々は即反論。しかし、顔が少し赤くなっていて、玲奈と彩にそこを突かれる。

玲奈「神谷君は、モテるから早く告白しないと、誰かに取られるかもね?」

彩「神谷君、教室でいっつもクラスの女子に囲まれてるで」

奈々「えっ・・・そうなんですか?」

彩「やっぱり神谷君のこと、好きなんや」

 玲奈と彩の協力プレイに見事引っ掛かり、奈々は少しイラっとしている。

奈々「松井さんも大変ですよね。柏木さんに杏奈ちゃん、うちによく遊びに来る未姫がライバルだなんて」

彩「ちょっと、ウチのこと、忘れてへんか?・・・あっ」

 奈々は仕返しとばかりに、彩を引っ掛ける。

玲奈「アハハハ、やっぱり会長に惚れたんだ」

彩「あぁそうや、悪いんか?」

 開き直った彩は玲奈と争おうとする。今いる場所が喫茶店だということを忘れて。

COM ( 2015/10/13(火) 19:40 )