1話
奈々「どうしたら良いかな?」
真子「できることは全部試してみたんだよね?」
潤から話を聞いた時から思い付く限り色々試し、和哉を元に戻そうとした奈々。そんなことを毎日したせいで、徐々に和哉に避けられるようになっていた。
未姫「こうなったら最後の手段しかないよね」
奈々「そんな方法あるの?」
藁にもすがる思いで尋ねる奈々。
未姫「私が奈々のお姉ちゃんになれば良いんじゃない?」
奈々「あのさ未姫、私は真面目に相談してるの、ふざけないで」
真剣な奈々は未姫の発言に怒りを顕にする。
未姫「私みたいに可愛い娘が彼女になったら嬉しいよね?私がお兄さんと付き合ってやる気を出してもらうってのはどうかな?」
真子「それ良いかも。彼女がいる人って頑張ってる人結構多いよね」
それは奈々が絶対に試すことができない手段。
未姫「そのまま付き合って、私が大学を卒業したらハワイの教会で結婚式して・・・・・・・・・」
いきなり妄想を始めた未姫。奈々は妄想中の未姫に関わりたくないのか 真子の手を引っ張り先に歩いていた。
「ママ〜〜、このお姉ちゃん、ヨダレ垂らしながら笑ってるよ〜〜」
「シッ、見ちゃいけません」
妄想中の未姫は通り掛かる人達から奇異の目で見られ、子どもの声で我に返り、奈々達を追い掛ける。
未姫「ちょっと待ってよ・・・って、お兄さん?」
奈々達を追い掛けていた未姫は、追い付く前に和哉を見付け る。
未姫「お兄さん、私と結婚してください」
和哉「・・・・・・・・・・・・」
結婚してくださいと言われ、未姫を一瞥したあと、何事も無かったように歩いていく。
未姫「あ、間違えました。私と付き合ってください」
和哉は全く気にすることなく、歩いていく。
未姫「お兄さん、何か言ってくださいよ〜」
和哉「ふぁ〜〜眠っ」
和哉は欠伸をしながら未姫を無視するように歩いていく。和哉の後を追い掛けようとした未姫だったが、奈々と真子が戻ってきたので、追い掛けることを諦める。
奈々「未姫、何かあったの?」
未姫「お兄さんに告白したんけど・・・振られた・・・のかな?分かんない」
和哉が返事をしなかったせいで、未姫は和哉の気持ちが分からず、奈々と真子に結果を正確に伝えられない。
真子「何で分からないの?」
未姫「だってお兄さん『眠っ』って言ってどこかに行っちゃったから」
和哉が告白の返事をせずに立ち去ったことに奈々は少し怒りを露にし、帰っていく。
奈々「お兄ちゃん、何で未姫を無視したの?」
夕食後、部屋に戻る和哉を捕まえ、問い質す。
和哉「お前がつまんねーこと言わせたんだろ?そんなのに引っ 掛かるバカがいるか!」
奈々「・・・・・・・・・」
奈々の企みだと思い未姫を無視した和哉。奈々が関与していそうなことは全く関わろうとしていない。
奈々(もしかして私のせいで?)「お兄ちゃん、未姫が本気でお兄ちゃんのこと好きなら付き 合ってあげて」
自分のせいで未姫が振られた、そう思った奈々が未姫の気持ちに応えるように和哉に頼む。
和哉「嫌だよ、俺は誰とも付き合う気はない」
和哉は奈々の頼みを拒否。奈々を冷たく突き放す。