1章
1話
「以上の結果により、秋葉学園次期生徒会長は岡田和哉君に決まりました」

和哉「嘘だろ・・・やりたくね〜」

 拍手が鳴り響く中、ただ一人茫然とする少年。彼の名は岡田和哉、先程、開票の結果、大多数の票を獲得し、生徒会長選挙に勝利。生徒会長に選ばれた。だが、無気力な彼は生徒会長になるつもりは全く無い。担任から無理矢理生徒会長に立候補させられてしまい、落選するために選挙活動をしてきた。確実に落選するはずの選挙。その選挙で何故か当選してしまった。白昼夢を見ている様な精神状態で、壇上に上がり、スピーチ。スピーチが終わると、先程まで座っていた生徒会長候補の席に戻る。席に着くと、他の候補者から祝福される。自分よりも他の候補者の誰もが生徒会長に相応しいと思っていても、今更辞退できるような状況でもない。彼の望むダラダラとした日常はこの瞬間奪われ、今まで感じたことが無い責任を押し付けられてしまった。

「よっ、生徒会長。頑張れよ!お前に投票したからな」

和哉「俺が生徒会長やりたくないって知ってて・・・」

「仕方ねーだろ、お前に投票したら、物理の成績上がるんだぜ」

和哉「裏切者!」

 和哉のクラスの担任は、物理を担当していて、自身が物理を受け持つクラスの生徒に成績アップと引き換えに、和哉へ投票させていた。

「クラスのみんな、お前に入れたぞ」

和哉「お前らみんな敵だ!」

 クラス全員に裏切られた和哉は、教室に戻ると、拗ねて自分の机で眠りに就く。

「おめでとう、生徒会長。これを機に色んな事にチャレンジしてみろ」

 HRが終わると、担任が和哉に話し掛けてくる。和哉にとっては今、一番顔を見たくない男。そして言われたくない言葉。物理を教えていながら体育会系のこの担任が、和哉に有無を言わせず無理矢理生徒会長に立候補させた。平穏な日常を奪われた原因を作った憎い男。
 しかし、そんな心情を微塵も表情に出さず、笑顔で『頑張ります』等と適当に当たり障り無く受け答えする。平穏な日常を過ごすため、下らない揉め事を避けるために、和哉の対人関係は意外と良かったりする。

「来週までに誰を生徒会役員にするか決めておくように」

和哉「分かりました」

 生徒会長になった瞬間、和哉は既に誰を役員にするか決めていた。役員が頑張ってくれると、自身は殆ど何もしなくて済むような真面目な人材を。秋葉学園の生徒会役員の選出法は生徒会長に一任され、拒否することはできない。

■筆者メッセージ
 まさかのID消滅。取り合えずバックアップがある不真面目を復活させます。
COM ( 2015/09/29(火) 18:55 )