04
一瞬で光に包まれた
「あれ、今光ったよな・・・雷か」
でも、周りを見ても何も変わっていない
駅のままだ。着ている服も、履いていた靴も同じだ、さっきの光はなんだったんだろうか。
もしかして見間違えか?
「おい、お前」
「………」
「おい、お前だ、そこのお前」
「………」
どこからか声が聞こえるを探す
「お前だって、そこのきょろきょろしてるやつ」
そうして、俺の横に男が現れた
「うわわわ」
急に現れたことに驚いて
一瞬心臓がとまりそうになる
「アハハ、なんだその反応は」
その男は普通に話しかけてくる
こんな駅でどうどうと話しかけてくる人なんて
今時いないだろう
俺は大きな声で話しかけてくる
この男が恥ずかしくて周りを見た
でもなぜか周りの人は固まったかのように
動かない
それにさっき周りを見た時と同じ、横で待っていた中年のサラリーマン
も自動販売機の前で選んでいた人も、ベンチに座っていた女子高生もさっき見た時刻表の電光掲示板の時間も変わっていなかった
「おい、お前ようやく気付いたのか」
「………」
その男が話し始めた
その男は身長が170センチくらいで
スーツを着ている
「今この時この時間の時は止まっている」
「え………なんで……」
「お前が願っていたからだ
あの、遠藤さくらだっけ、彼女のことを願ってるから」
「はぁ?」
ちょっと待ってくれ
何なんだよ、こいつは
たぶんこれは幻だ
最近ストレスが溜まっていただけだ
そうだ仕事が忙しくて……
こんな時間がとまるなんてありえない
「言っとくがこれは幻でもお前の幻想でもない。これは確かに起きている現実だ。」
なんで今俺口に出したか……
「お前の今この状態の言いたいことは分かる。でもそれよりもっと言いたいことが分かる。過去に、あのころに戻りたい、遠藤さくらが生きていた時間にだろ?」
男は俺の考えがすべてわかっているように
俺の気持ちを言い当てた
「あんたはいったい何なんだよ?なんでそんなことが分かるんだよ」
「それは俺が神様だからかな」
「神様?」
今時自分のこと神様なんて言えるなんて
「そうだ、だから俺はお前の願いを叶えてやることにした、そうしなきゃお前のこの先の未来今と何も変わらない。それに興味がある。遠藤さくらという一人の女をなんでこんなに思うのか。」
信じたくないけどいま自分の目の前で起こっていることは本当なのかもしれない
たださっきから自分の腕時計の秒針が動いていない
「今から、お前にチャンスを与える」
「チャンス……?」
「そう、俺がお前に5回のチャンスをやる5回だけ過去に戻してやる、これがルールだ」
そういって一枚の紙を胸ポケットから取り出した
そこにはお世辞にも綺麗とは言えない字でこう書いてあった
1、戻れるのは5回だけ
2、過去で行ったことは未来に反映される
3、1度戻った日には戻れない
「それがルールだ」
そんな何分か前に急に現れたやつの言葉なんてそう簡単に信じれるわけがなかった
「うーんその顔からして信じてないなそういうところがダメなんだよ、戻りたいと思いながらいざ戻れるチャンスを生かそうとしない、お前はそうやって常識を盾にしているだけの弱虫だ」
「………」
「もうーしょうがないならお試しをやらしてやる、三日前に戻してやるお前が会社でミスした日だ」
そういうとその男は俺が何か言う前に人差し指と中指をクロスさせて
「三日前に」
そういって弾いた
そしてまたさっきと同じような
光に目の前が包まれた