再会
鶴木「・・・」
新幹線と電車に揺られて、5時間半。
かーちゃんが入院している病院に着いた。
久々だな。
早川「ここなん?」
鶴木「あぁ。」
足が重い。
会いたくないし、会いたい。
矛盾しているけど、今の気持ちだ。
さくら「行こう?」
鶴木「うん。」
病院に入る。
〜〜〜〜
鶴木「・・・」
かーちゃんの病院室に来た。
前みたいに大部屋じゃなくて、個室になっている。
早川「やっぱり会いたくない?」
鶴木「そりゃ、うん。」
弱々しいかーちゃんを見たくない。
けど・・・
また手を握られる。
さくら「大丈夫。鶴木くん、会おう。」
鶴木「あ、あぁ。」
扉を開ける。
ガララッ!
母「誰で・・・」
鶴木「かーちゃん。」
母「ゆ、裕太?!!」
そこには、3年前の元気な姿のかーちゃんではなく、痩せて弱々しくなっているかーちゃんがいた。
母「な、なんで・・・あ、お父さんやな。もうあの人・・・」
鶴木「ごめん、かーちゃん。」
母「ええで、でも後ろの子は・・・」
さくら「遠藤さくらです。鶴木くんには、いつもお世話になってます。」
早川「同じく早川聖来です!!」
鶴木「東京でできた友達。」
母「ええ子たちやな。」
鶴木「うん、座るで。」
母「座りぃ。」
椅子に座る。
何を話そうか・・・
母「仕事は順調?」
鶴木「せやな。いっぱいやることあるから大変やで。」
母「そう・・・」
やっぱり元気がない。
何か悟っているっぽい。
鶴木「か、かー・・・」
母「それ以上言うんじゃないよ。」
鶴木「っ。」
母「裕太、ちょっと外出といて。2人に話があるから。」
少し目つきが変わる。
鶴木「う、うん。」
俺は、外に出る。
〜〜〜〜
さくらside
鶴木くんが外に出て行った。
母「たぶん、裕太に助けてもらったんでしょ?」
早川「はい!それにめっちゃ助けてもらいました!」
さくら「せ、聖来!」
母「そう、貴方達から見て裕太はどんな子に見える?」
早川「めっちゃ優しいです!」
さくら「それに、自分より他人を助けてることを心がけてます。私たちの他にもいろんな人を助けてます。」
母「やっぱり?」
早川・さくら「はい。」
母「裕太は、自分より人のことを心配してしまう子やから、頼んでいい?」
早川「もちろん!」
さくら「はい、安心してください。」
母「わかったわ。それじゃ、裕太を頼むね。」
さくら「はい!」
早川「わかりました!」
この約束が、私と鶴木君のお母さんとの最後の挨拶だった。