元不良見習いの奮闘記







































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第7章 刻まれたもの
嫌がらせ
昼の営業
「なぁ、大将。」
植村「なんでしょう?」
「見ましたか?ネットの書き込み。」
植村「あぁ、少し前に見せてもらいました。それが今のこの店の現状ですな。」
「いや〜、俺たちはそんなこと思うことないけど、不思議で仕方ないよな?」
「そうですね。」
昼間は、ここら辺で働くサラリーマン達が食べに来てくれる。
まぁ、昼間に定食を提供しているのは、チェーン店かうちの店くらいだな。
それ以外は、居酒屋だ。
「大将、困ったことがあったら、言ってくれよ。俺たちも力になるからさ。」
植村「お気持ちだけで、十分でさ。それにキッチリとしたサービスをしますので、ご安心ください。」
「それならいいんだけどな。」
いつ客足が、途絶えてもおかしくない。
それに俺のお袋が、言ってたやばい奴が何をするかもわからない。
だけど、今はやれることをやるしかない。
〜〜〜〜
夜の営業
角田「いや〜、しかし、こんなに客が来ないって・・・」
白村「そうだな。今日は、10人しか入ってないな。」
昼はともかく夜に人が入らない。
理由はわからないが、入ってくる人数は徐々に減っている。
植村「・・・おい、ヒデ。」
白村「はい?」
植村「両さんに今から来れるかって聞いてくれ。制服じゃなくて、私服で来てくれって。」
白村「わ、わかりました。」
角田「大将、どうしたんですか?」
植村「もしかしたらな。康太、お前にも頼みがある。」
角田「なんでしょうか?」
〜〜〜〜
30分後
角田『大将の予想通りでした。』
植村「そうか。両さんには、そこに向かうように言ってあるから少し待ってろ。」
角田『わかりました。』
白村「どうでしたか?」
植村「当たりらしい。今、6人くらいで店の近辺を歩いて、入りそうな客を睨んでいるってな。」
高松「まさか・・・」
植村「そうだな。たこすけの母親が、命令しているんだろうな。」
角田は、近くの24時間やっているスーパーに買い出しをするふりをして、周りを見ろと大将に言われた。
大将の予想通りで、いかつい大人が店の周りをウロチョロして、店に入りそうな客にメンチを切り、ここに入らせないようにしている。
高松「・・・やっぱり、変わってないんだな。」
白村「どうした?かんぼう。」
高松「いや、一緒に住んでた時も、ありとあらゆる手を使って、男から金を取っていたんだよ。仕事は知らないが、たぶんキャバクラで働いていた。金になりそうな男を部屋に連れ込んで、金がなくなるまで過ごして、金がなくなった男は、汚いこともして、離していったところも見たことあるしな。」
白村「それことはしっているのか?親父さんは?」
高松「知っていたと思うが、途中で帰って寝る生活をしていたし、言う暇がなかったと思う。それに途中から帰ってこなくなったしな。」
大将「とりあえず、両さんが来るまで、待機だな。」
白村・高松「へい。」
ガララッ!
植村「いら・・・」
高松「お袋・・・」
母「どうも、約2週間ぶりかしら。」
高松「何しに来た?」
母「え?お邪魔しに来ただけよ。けど、客がいないけど?どうかしたのかしら?」
高松「てん・・・」
白村「落ち着け、かんぼう。」
植村「で、ご用件は?」
母「決まっているでしょ?寛太をこちらに来させてくれればいいんですよ。それ以外ないですね。」
高松「何が、目的で俺の目の前に現れたか知らないが、あんたの所へは、絶対行かない。帰れ。」
母「へぇ〜、そんなこと言っていいと思っているの?」
高松「あ?」
母「ここをすぐに潰せることもできるのよ。」
白村「なぁ?!」
母「どうしますか?」
悪意に満ちた笑いをしている。
くそ、ぶん殴りてぇ。
「へぇ〜、脅しのつもりか知らないが、そんなことはさせねぇーぞ。」
母「え?」
厨房から聞き慣れた声がした。
白村「り、両さん!!」
母「誰よ、このゴリラは。」
両津「誰が、ゴリラだ?それよりもあんたが引き連れてきた男達は、どうなっているか知っているか?」
母「何?」
両津「外見てみな?」
お袋は、外に出る。
俺も外に出る。
母「な?!」
そこには、いかつい大人達ではなく、警察官達が立っていた。
両津「諦めな。ここは、ワシの縄張りだ。覚えとけ。」
母「くっ!」
悔しそうな顔をして、大通りの方へ向かっていった。
植村「両さん、助かった。」
両津「いいってことよ。それよりあの女が、すぐに諦めると思わん。ワシもここに来るから、警戒は続けたほうがいいな。」
植村「あぁ、ありがとうな。」
両津「いいってことよ。それより、飯食わしてくれ。腹が減った。」
植村「つけ払いだな?」
両津「決まってるだろうが。おい、お前達も何か食っていけ。」
「本当か?!両さんの奢り?」
両津「そんなわけないだろうが!」
両津さん達は、飯を食ってくれた。
しかし、今月は赤字になりそうだ。

満腹定食 ( 2021/10/09(土) 23:53 )