元不良見習いの奮闘記







































小説トップ
第7章 刻まれたもの
ネットの評判って半分くらいは嘘
5日後
両津「お、どうだ?大将。」
植村「今のところは、何もない。両さんのおかげだ。」
両津「そんなことないぞ。ワシのおかげより、中川のおかげだな。」
あの後、すぐに両さんに電話をして、何かいい対策はないのかと聞くと、中川さんの会社の防犯カメラとセキュリティーをつけてもらうことになった。
試験段階なので、タダでつけてもらった。
角田「いや〜、両さんには感謝ですよ〜。次、ビール一杯奢りますね!」
両津「言ったな?この野郎。」
高松「あざっす。」
両津「高松、しっかりやっているか?」
高松「はい、この間角田に包丁をねだったら、断られました。」
角田「白刃を頼むからだろうが!かんぼう、お前は今の包丁でいいんだよ!」
両津「がははっ!そうかそうか!」
頭を撫でられる。
植村「それより、両さん。たこの親の身元は、わかったのか?」
両津「今やっているが、難しいんだ。こっちも色んな手を使って調べているが、高松の母親どころか父親の身元すらわからないままなんだ。」
植村「そうか、すまないな。両さん。」
両津「いいってことよ。これでまたタダ飯が食えるからよ。」
植村「いや、ちゃんと払ってもらいますよ?」
両津「な、何?!」
白村「当たり前ですよ。大原部長にも言いますよ。」
高松「あ、それだったら、俺が言いに行きます。」
両津「高松!それはやめろ!!」
〜〜〜〜
夜の営業
角田「おかしいな〜。」
白村「そうだな。客の入りがめちゃくちゃ悪い。」
この時間は、カウンターが数席しか空いてない状況が多いが、テーブル席も空いて、カウンターも半分くらい空いている。
植村「こういう日もあるさ。とにかく、来たお客にいい接客をしろ。いいな?」
白村・角田・高松「はい。」
ガララッ!
植村「いらっしゃい。」
星野「た、大将!!」
樋口「こ、これ見てください!!」
植村「なんだ?」
白村「おいおい、これって・・・」
角田「うわ、ひどいな。」
樋口さんの携帯を見ると、紺色屋の評判を悪く書いてある。
星野「それにこれも!!」
某有名グルメサイトのコメント欄にも悪く書かれてある。
それに星の2.5以下だ。
植村「なんだ、これは。」
星野「私たちも今日教えてもらったんですけど・・・」
角田「何々?見栄えが悪い、味が薄い、店員の態度が悪い、常連と話しているから料理の提供が遅い、それに・・・」
白村「労働時間を超えて働かせているだと?」
植村「うちは、そんなことはない。キッチリ休む時間も取ってあるし、時間過ぎた分もちゃんと金として支払っている。」
樋口「私たちも今日見ただけなので、何も言えないけど・・・」
植村「まぁ、書かれちまったことは仕方ない。どうする?食べて行くか?」
星野「もちろん!」
樋口「ここの料理は、美味しいから絶対に来ますよ!!」
植村「それで、いいんでさ。お前ら、いいな?」
白村・角田・高松「へい!」
星野「私は、野菜のかき揚げと卵ときゅうりの酢の物で!」
樋口「私は、ニシンの西京焼きと鶏皮ポン酢で!!」
植村「わかりました。」
ネットであれこれ書かれているが、今のできることは、来てくれるお客に対して、しっかりとした対応を取ること。
それ以外ないと思う。

満腹定食 ( 2021/10/09(土) 22:08 )