元不良見習いの奮闘記







































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第27章 大人への決意
聞きたくなかった呼び出し
トントン!トントン!
高松「・・・」
角田「かんぼう、これ頼めるか?」
高松「いけます。」
角田「頼んだ。」
高松「へい。」
サッ!シュッ!サッ!サッ!
高松「これでいいか?」
角田「いいじゃねぇーか。さんきゅー。」
高松「あいよ。」
俺は、とにかく仕事に没頭するようになった。
そうすれば、幻聴も嫌なことも忘れられる。
とりあえず、目の前のことに集中だ。
白村「・・・」
〜〜〜〜
高松「・・・」
仕事が終わり、自分の部屋でゆっくりしている。
そろそろ幻聴も聞こえてくるし、瞑想でもし始めようか。
Prrr
高松「ん?誰だ?・・・え?」
表示された名前は、秋元先生。
高松「は、はい?もしもし?」
秋元「どうだ?腕は?」
高松「治りましたけど?要件は?」
秋元「気が早いな。水曜日、事務所に来てくれるか?」
高松「ちょっと、待ってください。」
俺は、シフト表を確認する。
水曜日は、丸岡が入っている。
高松「たぶんいけると思います。無理なら、午後からですね。」
秋元「そうか。なら仕事が終われば、すぐに向かってくれ。」
高松「はい。わかりました。内容は?」
秋元「今は、言えない。事務所に来てからだ。」
グッと声が低くなった。
平手のことか?
高松「わ、わかりました。じゃ、火曜日にまた連絡入れます。」
秋元「あぁ、わかった。」
電話が終わる。
高松「じれったいな。言えばいいのによ。」
俺が、言える場合ではないが。
だが、なぜ声が低くなったのかが、わからない。
平手の怪我なのか、それとも別・・・
高松「え?もしかして?」
俺は、ある人物を思い浮かべた。
高松「ま、まさかな・・・」
ーーーー
水曜日
休むことができたから、朝から事務所に来た。
そのまま会議室に案内されて待たされている。
高松「・・・」
胸騒ぎがする。
嫌な予感しかしない。
ガチャッ!
扉が開くと・・・
高松「し、志田さん・・・」
志田「久しぶり・・・だね。」
久々に見た志田さんは、髪が黒くなり少し痩せていた。
それに負の感情が見える。
まさか・・・
高松「志田さん、まさか・・・」
志田「うん、卒業するの。」
高松「そ、そんな・・・」
聞きたくなった言葉だ。
俺は、復帰すると思って弁当を渡して新潟へ送り出した。
でも、それが叶わなかったことが、ここで明らかになった。
高松「ど、どうしてですか?!!」
志田「ご、ごめんね。続けたかったけど、無理だったの。」
志田さんの目が、涙で溢れてくる。
高松「あんなにやってきたじゃないですか!!なのに!!平手も今・・・」
志田「ごめんね。私もそう思ってた。けど、色々考えてこれしか答えが出なかったの。ごめんね。」
志田さんは、涙を流した。
俺は、拳を握ることしかできなかった。
志田さんも色んな感情と戦っていた。
だけど、耐えきれなくなった。
俺は、結局何も出来なかった。
それしかない。
高松「・・・」
志田「本当は、復帰したの。あのお弁当もらったから、私はここまで考えられたの。けど・・・」
もう見てられなかった。
高松「志田さん。」
志田「え?!」
俺は、志田さんを抱きしめた。
志田「た、高松君?」
高松「あんたは、よく戦ったよ。色んなことを考えてたと思う。それは、あんたが少しでも抗おうとした証拠だ。それは、何事も見えないものかもしれないが、それは抗おうとした証拠なんだよ。だから、胸を張れ。」
志田「・・・う、うん。」
志田さんは、俺を強く抱きしめた。
そして、会議室は志田さんの号泣で響いていた。
俺は、泣き止むまで待っていた。
〜〜〜〜
志田「ごめんね。こんな私に付き合ってくれて。」
志田さんが泣き止んだ。
高松「いいんすよ。今日、休みだし。」
志田「あと、お願い聞いてくれる?」
高松「なんすか?」
志田「お弁当のお返しってわけじゃないけど・・・」
高松「はい?」
志田「私と寝て。」
高松「いいですよ。」
志田「ありがとう。」
高松「礼なんていいんすよ。その代わり、いつでも食べにきてください。」
志田「うん、絶対行く。」
俺はこの後、志田さんが使っていた部屋に行き、一緒に寝た。
悲しみを飛ばすため、すげぇした。
志田さんも俺も、求めて合っていたことなんだろう。

満腹定食 ( 2022/01/13(木) 16:20 )