元不良見習いの奮闘記







































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第27章 大人への決意
親心
高松「・・・」
俺は、いつも通り厨房に立っている。
でもこのまま厨房に立っていいのかと思い始めている。
市村「高松さん。」
高松「お、お?どうした?」
市村「すいません。これのやり方が、わからなくて・・・」
高松「あ、あぁ。それか。これは、こうやってこうだな。」
市村「ありがとうございます。」
高松「おぉ、ゆっくりでいいからな。」
市村「はい。」
丸岡と市村が交代で入ってくれるから、店は少し回せている。
2人とも入れない時もあるけど、その時は俺が頑張るしかないが、こうやって人がいると助かるもんだな。
角田「かんぼう、だし巻き頼むわ。」
高松「へい。」
〜〜〜〜
ジャー!!
高松「・・・」
皿を洗っている。
周りも静かになるし、落ち着いてられる。
唯一幻聴と考え事しなくていい時間だ。
高松「・・・」
市村「お疲れ様でした。お先に失礼します。」
角田「お疲れ〜!」
白村「お疲れ。気をつけて帰れよ。」
市村「はい。」
高松「・・・」
市村「え、あの、高松さん?」
角田「いや、大丈夫だ。そのままにしておいてやれ。」
市村「あ、はい。」
白村「かんぼうは、今成長のために考えているんだよ。」
市村「そ、そうなんですか?」
白村「あぁ。市もそのうちわかるさ。」
市村「あ、はい。では、失礼します。」
〜〜〜〜
高松「・・・」
俺は、まだ厨房にいる。
俺は、手を見つめている。
そう、人を死に追いやった手だ。
何も言わずに生きていくのか、告白して関わってきた人間を避けされるか。
どうすればいい案なのかわからない。
白村「おい、まだ悩んでいるのか?」
高松「あ、白村。」
白村「ほら、やるよ。」
缶のカフェオレをもらう。
蓋を開けて少し飲む。
白村は、ブラックコーヒーを飲んでいる。
高松「あ、ありがとう。」
白村「どうしたんだ?最近ずっと暗いぞ。」
高松「い、いや・・・うん。」
白村「言えないか?」
高松「まだ言えない。」
白村「そうか・・・それは、俺や康太にも言えないのか?」
高松「・・・そうだな。俺は・・・」
白村「怖いんだろ。」
高松「・・・」
白村「俺もその怖さを知っているぞ。」
高松「え?」
白村「俺もお前みたいじゃないけど、やんちゃしてたんだよ。それである時、やらかしてその時の店長を殴っちまってよ。」
高松「・・・」
白村「それから店をやめて、ぶらぶら歩いてた時に、大将が修行してた店に入ったんだよ。それで、大将に拾われてここにいるんだよ。」
高松「そうだったんだな。」
白村「そうだな。それに言いたくないことは、誰にだってあるんだぞ。康太も普段はふざけているけど、あいつにも俺たちに言えないことがあるんだぞ。」
高松「・・・」
白村「大丈夫だ。その言える時が来たらでいい。今は、仕事に集中しろ。いいな?」
高松「・・・わかった。」
白村「じゃ、早く寝ろよ。」
白村は、そのまま帰っていく。
俺は、残っているカフェオレを飲み干して、厨房の電気を消す。
俺には、まだ言える覚悟がない。
けど、それでも前に進むことはできるとわかった。
明日からどうにか頑張るぞ。

満腹定食 ( 2022/01/13(木) 10:31 )