元不良見習いの奮闘記







































小説トップ
第1章 暴れん坊見習い
拾われた日
2ヶ月程前
角田「うわ〜、大将。こりゃひどいですよ。」
台風並みに雨が降り、風が吹いている。
植村「しかし、降るって言ってたが、これほどとはな。」
白村「どうします?」
植村「少しあと1時間くらいで客が来なかったら、片付けるか。」
角田「了解で〜す!」
植村「お前は、包丁研いでろ!捌きが甘いんだよ!!」
角田「い、今からします!!」
植村「たく・・・」
ドサッ!ドサッ!
白村「ん?」
植村「なんだ?」
角田「見てきます。」
植村「おい!待て!」
傘を開いて、角田は外に出る。
音がした方は、裏に行く細い道だ。
角田「た、大将!!」
植村「どうした?!」
白村「俺も行きます!」
傘をさして、外に出る。
角田「あ、あれ。」
植村「学生か?」
白村「高校生みたいですね。」
黒の学ランを着た高校生が、倒れている。
それに顔には、傷がある。
角田「どうします?」
植村「一旦、うちで預かろう。上に運ぶから手伝え。」
白村「わかりました。着替えはどうします?」
角田「俺と身長変わらないくらいですし、俺の服取りに行ってきます。近いですし。」
植村「こいつを運んだら、頼んだぞ。」
角田「はい!」
〜〜〜〜
「ん、ん?ここは?」
植村「気が付いたか?」
「え、あ!!」
少年は布団から飛び起き、膝立ちでファイティングポーズをした。
植村「落ち着け、お前が倒れていたから助けたんだ。どうしてあんなところにいたんだ?」
「喧嘩に負けて、ふらふら歩いていた。」
植村「で、たまたまあの道を通った訳だな。」
「あぁ。おっさん、ここは?」
植村「俺の店で、住居だ。」
この店は、1階が居酒屋で2階は住めるスペースになっている。
白村と角田の休憩スペースもある。
植村「坊主、名前は?」
「高松寛太。」
植村「親は?」
高松「いねぇーよ。親父は、1年前にどっか行って、お袋は男と半年前に出てった。最近になって、退去しろって大家に言われて、ずっとふらついてた。」
植村「じゃ、住むとこかろもなく親もいないんだな?」
高松「あぁ、高校も学費払ってないから退学するか、親探せって言われた。もうやめてもいいかと思っている。」
植村「そうか。だったら、ここで働くか?」
高松「え?」
植村「そのかわり、残りの高校の学費と携帯代を払ってやる。その分のバイト代はもらうが、小遣いはそうだな。その月のお前さんの働きを見て、払ってやるよ。」
高松「いいのか?」
植村「あぁ、そのかわりタバコはやめろよ。たぶんこれは、親父さんかお袋さんの影響だと思うがな。」
高松「そ、それは・・・」
植村「やめるか?」
高松「な、なんとかしてやるよ。」
植村「そうか、今日は泊まっていけ。明日、大家と話ししてお前の荷物取りに行くぞ。」
高松「あ、あざっす!」
植村「ありがとうございますだろうが。あとお前の言葉遣いも直していくから。直らないようだったら、手出すからな?いいな?」
高松「うっす。」
植村「はい、だろうが!!」
高松「は、はい!」
植村「たく、飯作ってやるから降りてこい。」
高松「う・・・はい!」
ーーーー
植村「次の日、たこが住んでいた部屋を見に行ったら、酷かった。物が散乱していて、ゴミだらけで、あいつの荷物は教科書とノートとまだ着れそうな服しか残ってなかった。それで、あそこにいるお調子者から服や靴もらって、今の生活があるんですよ。」
角田「大将〜!そんなこと言わないでくださいよ〜!!」
星野「そうだったんですね。」
高松「はい、半熟煮卵です。」
星野「ありがとう。高校はどこに通っているの。」
高松「えっと、〇〇高校・・・です。」
星野「あぁ〜。」
白村「やっぱ、星野さんも知っているんですね。」
星野「はい。勉強ができなくて子が多くて、喧嘩が頻繁にあるって聞いてます。」
角田「俺らの時のそうだったんだよ。未だにそんな奴らが集まるのかよ。」
植村「お前ら、仕事に集中しろ。」
白村・角田「はい。」
植村「まだ無礼を働くと思いますが、そこのところはお許しください。」
星野「わかりました!高松君!」
高松「はい?」
星野「めげずに頑張るんだよ!」
高松「・・・はい。」
植村「ほら、嬢ちゃんもこう言っているんだ。やめろよ?」
高松「はい。」

満腹定食 ( 2021/09/03(金) 17:41 )