新人警察官は駆け上がる





































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第33章 その先に見えたもの
男の約束
1年後
坂道本社
北村「いや〜、すまない。これで全員か?」
真夏「乃木坂は、全員います。」
菅井「櫻坂も同じくです。」
加藤「キャプテンがまだです!」
北村「あの野郎、連絡は?」
潮「延着だそうです!あと15分くらいで来ます!」
北村「まぁ、いい。本題に入るぞ。実はな、中途採用を雇ったからその紹介だ。おい、入ってこい。」
扉が開く。
真夏「え?」
菅井「嘘・・・」
遠藤「なんで・・・」
見たことのある男が、スーツを着て会議室に入ってきた。。
少し歩き方がおかしいが、気にならない程だ。
そして、男性は壇上の真ん中に立つ。
「えぇ〜、この度、坂道本社に勤めることになりました。津田雄介と申します。不束者ですが、よろしくお願いします。」
〜〜〜〜
俺は、深々と礼をする。
北村「と、まぁ、俺も事情は聞いてないが来週から入社す・・・」
早川「津田さ〜ん!!」
早川が一目散に抱きつく。
津田「おっとと。」
早川「本物やんな?」
津田「じゃ、俺は誰や?」
早川「私との出会いは?」
津田「ストーカー犯から助けた時。」
早川「ホンマもんや!!」
津田「だから、本物だって言ってるだろ?」
影山「津ー田ーさーん!!」
天「津田さん!!」
数十人走ってくるのが見える。
津田「うわ・・・ふぎゃ?!」
一斉に抱きつかれて、その重さで倒れる。
津田「たはは〜、そうなるか〜。」
北村「予想してただろ。それに俺も昨日知ったからな。後で説明しろよ。」
津田「説明も何も、この後張本人が来ますから。」
北村「はぁ?お前だけだろ?」
津田「いえ、あ・・・後ろ。」
北村「はぁ?後ろ・・・げぇ?!」
「何か不味いことでもあるのか?」
菅井「あ、あ、秋元先生?!」
秋元「来れるメンバーは、来ているのか?」
北村「まだ久美が・・・」
ガチャッ!
久美「遅れました!え?!秋元先生?!」
秋元「来たようだな。全員座りなさい。」
俺は、壇上の端に立つ。
秋元さんは、真ん中に立つ。
秋元「この通り、津田君はこの会社に勤めることになった。いや〜、骨を折ったよ。中々折れなかったからね。」
俺は、顔をそっぽを向く。
秋元さんは、俺の実家に来て直接俺に会って来た。
ーーーー
約1年前
実家
津田「・・・」
母「お、お茶です。」
「ありがとうございます。」
津田「こんなど田舎まで、来ていただきありがとうございます。秋元康さん。」
秋元「いいところじゃないか。いい感じに田んぼがあったり・・・」
津田「そんなことよりも、こんなボンクラになんの用ですか?」
秋元「そんなこと自分から言うんじゃない。君にお願いがある。」
津田「なんでしょうか?」
秋元「私の会社に・・・」
津田「お断りします。」
秋元「早いな。」
津田「俺は、歩くのがやったな状態です。そんな人間を雇ったところで会社のお荷物になるだけですよ。」
秋元「坂道達が悲しんでいるぞ。話を聞いたが、このままではボロが表に出る。」
津田「嫌です。こんな姿は見せられません。あいつらには、カッコいい姿のまま居させてください。」
俺は、まだ普通に歩けない。
リハビリは、順調だが中々戻らない。
それが憤りを感じている。
そんな姿をあいつらに見せられない。
津田「すいませんけど、お断りします。」
秋元「断る理由はそれだけか?」
津田「はい。自分の・・・俺のわがままです。」
空気がピリッつく。
明らかに秋元さんの顔が、険しい。
俺だって、あいつらと一緒にいたい。
だけど、こんな姿じゃ・・・
秋元「わかった。だけど、私から条件を出そう。それが無理だったら、坂道本社に来てくれ。」
津田「え?条件ですか?」
秋元「あぁ、条件は・・・」
津田「え?」
ーーーー
秋元「どうにか、津田君を引っ張ることになった。来週から本格的に働いてもらうから。頼むぞ。」
最後に俺の顔を見てくる。
津田「あ、はい。」
秋元「みんな、これからも全力を出すように。」
「「「はい!!」」」
秋元「では、私はこれで。北村君、頼んだよ。」
北村「はい。津田、頑張れよ?」
津田「え?え?」
「「「津田さ〜ん!!」」」
津田「ま、待て!!ぎゃ〜!!」
ものすごい勢いで、抱きつかれる。
そのまま倒れる。
もみくちゃにされました。
〜〜〜〜
北村「あの、秋元先生。」
秋元「どうしたんだ?」
北村「津田をどうやって口説き落としたんですか?」
秋元「そうだな。秘密だな。」
北村「そ、そうですか・・・」
秋元「約束だからな。」
ーーーー
秋元「君が、この1年で坂道メンバーの顔が、思い浮かばなかったら、諦めよう。それだけだな。」
津田「え?ほんまっすか?」
秋元「素が出ているぞ?」
津田「あぁ、すいません。それだけですか?」
秋元「あぁ、君に賭けようと思う。これは、電話番号だ。時が来たら、電話しなさい。では、これで。」
津田「お、送りますよ。」
秋元「いや、いい。これから大阪に行かなくてはいけないから、迎えが来る。」
津田「そ、そうですか・・・いいんですか?こんなボンクラにそんな賭けをして・・・」
秋元「君の行動を聞いていたら、そうしたくなるのさ。では、また会おう。」
ーーーー
秋元「・・・」
北村「秋元先生?」
秋元「あ、あぁ、すまない。次のスケジュールは?」
北村「制作班と会議です。では。」
秋元「わかった。すぐに行こう。」
このことは、誰も知らない約束になった。

満腹定食 ( 2021/08/27(金) 17:40 )